厚生労働省は食事摂取基準の中でぶどう糖の一日の必要量を100gとしている。しかしただし書きでは「これは真に必要な最低量を意味するものではない。肝臓は必要に応じて、筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されたグリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給するからである」とも述べているのだ。

 さらに「乳児以外の人はこれよりも相当に多い炭水化物を摂取している。そのため、この量を根拠として推定必要量を算定する意味も価値も乏しい」との記述すらある。

 つまり厚生労働省は、多くの日本人がふだんの食事のなかで糖質を過剰なほど摂っているのだから、国民向けに「糖質の一日の必要量」を提示して基準を下回らないように注意する意味はないと言っているのだ。よって基準を意識せずとも、食事で摂る糖質を減らしても問題ないし、むしろ糖質の摂取を減らせば体内の脂肪を落とす効果があるということになる。

気軽に始められ、長く続けられるのが長所

 糖質制限ダイエットの実行には糖質をほぼゼロにする徹底したものから、「これまでの半分程度にする」「夕食のごはんを抜く(または極端に減らす)」というゆるいものまでさまざまである。いきなりの糖質ゼロは精神的にも困難が予測されるし、栄養学・医学の知識なしに続けるのは危険だ。

 長所は気軽に始められ、細かなカロリー計算などは(するに越したことはないが)いらない点にあるといわれる。確かに普段どおりの食事から糖質の多いものを減らし、不足の恐れがあるたんぱく質や食物繊維に関してはやや多めに摂ればそれでいいわけで、簡単は簡単だ。

 他の「○○を食べない」「○○ばかり食べる」ダイエットに比べ健康的で精神的なストレスが少ない点、糖質をゼロにするといった極端なやり方でないかぎり、長く続けられる点も長所だろう。

 簡単に始められ危険の少ないダイエット法だが、糖尿病を抱えて服薬やインスリン注射をしている人はまず医師への相談が必要だ。そもそも糖尿病の食事療法から始まったともいわれるダイエット法なので、既に糖質を制限しているはずの糖尿病患者が始める意味はないのだが、念のため。

(ライター 工藤 渉)

参考URL:

厚生労働省 eヘルスネット ダイエット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html

厚生労働省 eヘルスネット 健康的なダイエット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-009.html

厚生労働省 eヘルスネット 炭水化物/糖質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html

厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015) 炭水化物
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042632.pdf

厚生労働省 日本人の食事摂取基準 概要
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf