高齢になると、
自宅に住み続けられるとは限らない

 日本人の約8割は年を取っても、できる限り「いま住んでいる自宅に住み続けたい」と思っています。しかし、こうした希望に反して高齢期には自宅に住み続けられるとは限りません。このため、親が希望するかどうかにかかわらず、なるべく元気なうちに老人ホームの情報収集を行なっておくことが重要なのです。

安心して入れそうな老人ホーム
5つの評価ポイント

 とはいえ、近年増え続けている老人ホームや介護施設は玉石混淆状態。どれをどう選べばよいかさっぱりわからない、と思われる人も多いのではないでしょうか。

 実は「すべての人が満足できる老人ホーム」というものはありません。高齢者にはそれぞれ一人ひとりの人生の履歴があり、生活習慣も保有財産も価値観も異なります。だから、「満足できる老人ホーム」の定義は、多様であり、高齢者一人ひとりで異なります。

 しかし、「ここなら安心して入れそう」と判断できる評価ポイントがあります。それは、(1)施設長の能力、(2)介護リーダーの能力、(3)入居率、(4)施設の雰囲気、(5)入居者と家族の評価です。

(1)施設長の能力

 老人ホームという商品は、見学会などでは、建物や設備といった「ハード」に目が向きがちですが、肝心なのは食事や入浴、介護サービスなどの「ソフト」の質です。このソフトは、そのホームが提供するメニューによりますが、そのメニューの質は運営するホームの「スタッフの質」に大きく依存します。このスタッフを活かすも殺すも、施設のトップである施設長の力量次第なのです。

 ですから、ホーム見学の際は、必ず施設長に直接会って、ホーム運営に対する考え方をじっくりと聴き、その人の人間観や人柄を知ることが極めて重要です。