できる営業の商談時間は短い
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論。テレビ、ラジオ、講演等、多方面で活躍。
著書は『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』『コミュニケーション力』(岩波新書)、『現代語訳 学問のすすめ』(ちくま新書)、『質問力』(ちくま文庫)、『語彙力こそが教養である』(角川新書)、『雑談力が上がる話し方』『雑談力が上がる大事典』(ダイヤモンド社)など多数ある。
撮影/佐久間ナオヒト
長々と話し込む談義より、顔を合わせるたびにサクッと交わす雑談。
話す時間より小刻みでも話す回数が多いほうが、親近感も生まれやすくなります。
ある会社のトップ営業マンは「1回の商談時間は短い」と言います。
しかし、「商談回数は多いかもしれません」とも。
何度も足を運び、相手の業務の邪魔にならない程度で商談を行う。そこから信頼関係を構築し、ビジネスにつなげていくのだそうです。
こんな具合に、雑談は質より量なのです。
サクッと話を切り上げるには?
とはいえ、話の切り上げ方に頭を悩ませる人も多いでしょう。
ですが、難しいことはありません。
話の途中であっても「それでは」「じゃあまた」とひと言で切り上げればいいのです。
ビジネスシーンでも同じこと。
雑談はあくまで場の空気をほぐし、軽くするための手段。
たとえば、ビジネスの現場で商談前に雑談がはずむのは結構なことなのですが、雑談ばかりに時間をとられて肝心の商談に入れないというのでは本末転倒になってしまいます。
場の空気がほぐれ、相手との親近感が高まったら、
「雑談はさておき――」
「まあ、雑談はこのくらいにして――」
「では、そろそろ仕事モードに切り替えて――」
などと、雑談をサクッと切り上げて本題に入りましょう。
あくまで後の商談のための地ならし――それがビジネスシーンにおける雑談の本来の役割なのですから。
話が途中でもサクッと切り上げるのが雑談のルールです。
いつ「じゃあまた」と終わらせても大丈夫。終わらせていい。
むしろ、終わらせることが大事。
これさえわかっていれば、もっと気楽に、もっと積極的に雑談をはじめられるはずです。
※この記事は書籍『会話がはずむ雑談力』の一部を、編集部にて抜粋・再構成しています。