なぜソフトバンクの社員は「数字を使う力」を持っているのか?
「どうして君はこの数字が答えられないんだ!」
ある日の役員会議で、孫社長のカミナリが落ちました。
孫社長は会議で報告を聞きながら、少しでも気になることがあれば、担当役員に次々と鋭い質問を浴びせます。もし相手が答えに窮することがあれば、冒頭の怒りのひと言が飛んできます。
一般の会社なら、「後ほど部下に確認してご報告します」という返事でその場は許されるかもしれません。しかしソフトバンクでは、たとえ役員であっても、担当する現場のことは細かく数字で把握していなければいけないのです。
数字で語ることを求められるのは、役員だけではありません。一事が万事こんな具合ですから、現場の社員にも細かい数字を説明する能力が求められます。
ソフトバンクがこのように数字にこだわるのは、それが孫社長の信条だからです。
私がソフトバンクにいた当時、組織ごとの売上や新規契約数などの業績は毎日グラフで出されていました。現在は日次どころか、リアルタイムで刻々と変化する数字をチェックできます。
会議では、それを見た孫社長から、社員たちに矢継ぎ早に質問が飛びます。
「今日の新規顧客獲得数はなぜ3000件なんだ?」
「これを5000件に増やすにはどうする?」
社員はこうした質問に対して、最新情報を常に把握し、目標より数字が良くても悪くても理由を分析し、次の一手まで含めて答えることが求められます。
これが、ソフトバンクの社員に与えられたミッションです。
この特殊な環境の中で、「(2)数字を使う力」が身に付きます。