「仕事が進まない」「今日も残業だ」「結果が出ない」……多くのビジネスパーソンが共通して抱えるこうした問題を、すっきり解決してくれる手法がある。PDCAを超スピードで回す「高速PDCA」だ。ソフトバンクでは6万人超の社員がこの手法を使い、わずか30数年で8兆円企業を誕生させた。
全社員が「高速PDCA」を回す中で、成績トップの人たちにはある共通する習慣があることがわかった。
9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の話題の本『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して高速PDCAを紹介する。
仕事ができる人は何が違うのか?
ソフトバンク時代を含め、さまざまなビジネスや事業に関わってきましたが、どの職場でもトップと最下位の業績には大きな開きがありました。
同じ職場で同じ仕事をしていても、できる人と普通の人では最大で3倍の差が出る。これが私の持論です。
この差は何から生まれるのか。それは「品質」を意識しているかどうかにあります。
「Yahoo!BB」のプロジェクトでコールセンターの責任者を務めていたときは、それを特に強く実感しました。
オペレーターの仕事の品質は、「1日に処理できる電話の本数」「お客さま1人当たりの対応時間」「セールス電話で成約をとれる割合」といった指標で判断できます。
仕事ができるオペレーターが1日に30件処理できるとしたら、普通のオペレーターは10件程度。できるオペレーターは、クレームなどの難しい内容でも平均で5分以内に処理できるのに、普通のオペレーターは15分以上かかってしまう。
同じ仕事をしていても、こんなに成果が違うものかとびっくりした覚えがあります。
できるオペレーターは、1件当たりの通話時間をメモしたり、1日で処理できた件数を必ず確認していました。そして、「どんなトークをすれば、通話時間を短縮できるか?」などと常に考えていたのです。
ちなみにタクシーの運転手も、まったく同じようです。
私はタクシーに乗ったとき、道に詳しく仕事ができそうな運転手には「きっと会社でも上位の売上でしょう?他の人と何倍くらい違いますか」と聞くことにしています。するとたいていは「3倍くらいですね」と返ってくる。そこで「なぜ3倍も差がつくんですか」と聞くと、答えはどの人も共通しています。
「考えて走るからですよ。何時頃にどのポイントを流せば、どれくらいのお客さんがいるか。それを毎日考えていれば、他の人より多くお客さんを拾えます」
運転手の皆さんも、やはり毎日の結果を検証しているのです。
このように仕事ができる人は、必ず自分の仕事を振り返っているのです。逆にいうと、毎日、改善していくことで普通の人でも、高い成果を上げることが可能になるということです。
ソフトバンクではこの「一見、普通のこと」をまじめに続けてきたから、思い通りの成果をどこよりも速く手に入れることができました。