ソニー創業者・井深大氏も絶賛した『赤ちゃん教育』 が大人気の「脳科学の権威」久保田競氏と「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏。
これまで、育脳教育の最重要指針に「早期からの算数力アップ」を掲げてきた。なぜなのか?
『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』 が話題の著者に、「早期からの暗算の必要性」について聞いた。
「ミゾリー縦断的研究」とは?
(Kayoko Kubota)脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計38万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評
【脳研工房HP】www.umanma.co.jp/
私は、前頭前野を小学校入学前後に鍛えたら、「就学してからの学校での成績はよくなり、社会に出て職についても、収入が高くなる傾向があるし、結婚してもうまくいく傾向がある。また、年をとっても、病気になりにくくなるだけでなく寿命も延びる傾向がある」という説を以前紹介したことがあります。
彼女は、自己行動抑制、ワーキングメモリーと柔軟思考の3訓練が大事であると主張したが、私の考えは、彼女の考えより徹底したもので、前頭前野を鍛えるのは0歳からしたほうがいいし、2歳以降は訓練項目に「暗算」を加えたほうがいいと考えています。
暗算こそが、長期記憶の能力を高める、最良の方法と考えています。
就学前の算数の知識が、小学校入学してからの算数の学力にどう影響するかを調べた研究で信頼できる成果を出しているものに、数学能力発達・未発達のミゾリー縦断的研究(Missouri Longitudinal Study of Mathematical Development and Disability)があります。
幼稚園児から小中学校9年間の生徒、約200名の数学能力を毎年1回テストし、2編の論文がDavid C. Gearyによって専門誌に発表されています(2010年、2013年)。
被験者には7%の学習障害児が含まれています。
研究費は、NIH(National Institute of Health, 国立衛生研究所)から支出されています。
行われたテストは、普通に使われているテストで、特に変わったものではありません。
被験生徒を、算数テストの成績で3群(平均群、平均群よりよくできる群と平均群よりできない群)に分け、毎年、成績がどうなるかを調べたのです。
その結果、どの群も成績がよくなり、成績がよくないほうはよくないままでした。
成績で生徒の群が変わることはないので、入学時の成績で5年後の成績がほぼ予測できます。小学校入学時に成績のいい生徒は、6年生の成績もよい傾向があるのです。