実態のない、言葉だけの
「ウソ」を見逃さない
これらの中には、もちろん正しい意見もあるかもしれません。しかし大半は、日ごろ思っている不満を、売れないときの言い訳に使っているだけです。営業経験のない社長であれば、聞いただけでは、どれもこれも、もっともな説明のように思ってしまいます。
しかし、社長が聞き流さずに、これらの営業の「ウソ」の言動に「待った!」をかけないと、どんどん図に乗ってエスカレートします。
実は、社長に営業経験がないとすればチャンスです。知らないことを逆手にとって、営業のいい加減な言動、「あれ?」と疑問に感じた報告について、徹底的に質問をするのです。
「他社が安いというが、どこまで市場調査したのか具体的に言いなさい」
「コストが高いというが、どの製品のどの部分が高いのか」
「価格は過去3ヵ年、どのように推移しているのか」
「A地区にサービス網がないのは昔からだが、なぜ今年の売上は下がったのか」
「不渡りは当たり前のように言うが、営業の信用管理のルールをここで説明しなさい」
といった調子で、疑問点を追究するのです。「ウソ」をついている営業は、痛いところを突かれた格好になります。
つまり、営業マンの責任逃れの「ウソ」の言い分に歯止めをかけて、次回から安易な言い訳は通らないことをわからせるのです。「社長は知っているのだ」「社長は何もかもお見通しなのだ」と思わせることです。
それだけで、マンネリ化した会議に緊張感が走り、今までとは違った緊迫感のあるやりとりに変わるはずです。
ここでは営業の話だけにとどめますが、生産も経理も開発も技術部門も、「騙し」「ウソ」はどこの部署にも存在します。特に技術部門の「ウソ」は、取り返しのつかないことになる場合がありますから、利益の漏れない経営をするためには、意識して注意しなければなりません。
営業の例のとおり、日常の業務の中で起こるちょっとした「ウソ」が積み重なると、社内全部門に影響して、利益が出せない体質になってしまいます。「ウソ」は形に表れない損失だと考えて、徹底的に対処しなければなりません。