「電気料金が下がる」とは言ってない!
霞が関のレトリックとは

 供給される電力の全体のパイが決まっている以上、ある層が優遇されれば、どこかにしわ寄せがいく。結果、損してしまうのは電力消費量の少ない低所得層なのだという。つまり、我々一般庶民にとっては、ほとんどうまみがないのが実情なのだが、当初は多くの人が自由化されれば料金は安くなると思ったはずだ。

「役所側も『電気料金を下げる』とは言っていないんです。では、どう説明したかというと『電気料金の上昇を抑制する』と言ったんです。ここが肝なのですが、電気料金の上昇を抑制するということは、料金は上昇するという意味なんですね。いわば霞が関のレトリックですよ。ここに気づいていた人はそう多くないでしょうね」(同)

 とはいえ、ほとんどの一般消費者たちは電力自由化の背景をそこまで深く理解していない。消費者たちの切り替えが思いのほか進んでいないことには、もっと根本的な理由があると石川氏は語る。

「これを言ってしまうと身もふたもないけど、根本的に皆、(電力自由化に)興味が湧かないんだと思います。なぜかというと、『人間の本能を刺激しないから』。たとえば1990年代に爆発的に普及したインターネットや携帯電話もすべて規制緩和だったわけですが、これら通信の自由化は、金銭欲と性欲という人間の本能を刺激するコンテンツを生み出しました」

「だけど、電力やガスの自由化にはそれがない。しかも、いざ切り替えようとすると結構めんどうくさい。確かに電気料金7000円が6500円になれば、500円得ですけど、そんなに面倒なことをしてまで500円安くなるのを良しとするかといえば、どっちでもいいや、になってしまうんです」(同)