簡単に言ってしまえば、海外で受けた医療費と、同様の治療を日本で受けた場合の医療費を比べて、どちらか低いほうの7割がもらえる金額ということになる。

 海外療養費の請求には、診療内容の分かる書類、領収書(明細がわかるもの)が必要になるので、現地の医師に頼んで忘れずにもらっておこう。帰国後、その診療明細書と領収書に日本語の翻訳をつけて、加入している健康保険(会社員なら勤務先、自営業なら自治体の担当窓口)に提出する。健康保険では、これらの資料をもとに給付額を算定して、2カ月後に払い戻しが行われる。

 ただし、最初から心臓移植などの治療目的で渡航した場合は、海外療養費の対象にはならない。美容整形手術、性転換手術、高価な歯科材料や歯列矯正なども対象外だ。また、差額ベッド料、先進医療の技術料、自然分娩の費用など健康保険が効かないものは請求できないので注意しよう。

アメリカで虫垂炎の手術を受けると
約298万~354万円かかることもある

 このように、海外旅行先で病気やケガをしても、日本国内と同様に健康保険から海外療養費が給付されるので、ある程度まではカバーできる。

 しかし、同じ治療でも国によって医療費は大きく異なる。

 民間の保険会社が医療界を牛耳っているアメリカは、総医療費の対GDP比が16%で世界一医療費の高い国だ。たとえば、ニューヨークの私立病院で虫垂炎の手術を受けた場合、具体的な自己負担額はどうなるのか。

 まず、日本で虫垂炎の手術を受ける場合は、入院8日程度で平均的な医療費の総額は約52万円だ(全日本病院協会ホームページより)。退院時に医療機関の窓口では、いったん3割の15万6000円を支払うが、このケースでは1カ月にかかった医療費が一定額を超えると払い戻しを受けられる高額療養費が適用されるので、一般的な所得の人の最終的な自己負担額は9万円程度だ。