2017年1月10日、中国企業2社が施工・運営するエチオピア・ジブチ鉄道のジブチ区間が正式に開通した。これは内陸国エチオピアの首都アディスアベバと紅海(Red Sea)に面した隣国ジブチの首都ジブチ市を結ぶアフリカ初の電気鉄道である。
総延長750キロの鉄道は、総工費34億ドル(約3500億円)の7割が中国輸出入銀行の出資による。鉄道運営の経験がないエチオピアで人材が育つまで、5年間の契約で、運転士や駅長、技師など運行に関わる全てを中国人が担う。
これまで2都市間の物流は9割をトラックなどの道路輸送に頼っていたが、渋滞や道路整備の遅れから片道だけで数日かかっていた。「この鉄道は形勢を一変させるものだ」、「エチオピア、ジブチ両国の経済にとって大きな起爆剤となる」などとフランスのAFP通信が評価する。
中国のメディアの報道によれば、この鉄道によって、ふたつの国の首都を移動するのにかかる時間はこれまでの3日から7~12時間にまで短縮される、という。
アディスアベバ~ジブチ間には1910年にフランスの企業が鉄道を敷設していたが、老朽化によりすでに運行できなくなっていた。エチオピアがスイスやオーストラリアなどの鉄道建設会社に調査を依頼したこともあったが、インフラが立ち後れた国で電気鉄道を建設するのはあまりにも難しいので、結局、工事施行までたどり着けなかった。最終的に中国がその近代的な鉄道の建設を引き受けたそうだ。
中国が敷設した
「新時代のタンザン鉄道」
このエチオピア・ジブチ鉄道は、アフリカ鉄道事業が一夜にして現代社会の仲間入りを果たした象徴として、中国が敷設した「新時代のタンザン鉄道」と称されている。
タンザン鉄道というのは、タンザニアのダルエスサラームとザンビアのカピリムポシを結ぶ鉄道「TAZARA」のことを言う。