今回も前回同様、株式会社エニグモの最高共同経営者に「仕事の極意」についてお話を伺います。今回はもう1人のCEO、須田将啓氏のインタビューです。前回【田中禎人氏のインタビュー】はこちら

■ 社長ファイルNo.8 ■

株式会社エニグモ 代表取締役
共同最高経営責任者 須田将啓 氏

■ 須田CEOが選んだ「仕事の極意」(スキル)は・・・ ■

セルフブランディング

須田将啓須田将啓(株式会社エニグモ 代表取締役 共同最高経営責任者)
1974年生まれ。慶應義塾大学院理工学研究科計算機科学専攻修士課程修了。2000年博報堂入社。2004年田中氏とともに博報堂を退社し、株式会社エニグモを設立。現在、エニグモ代表取締役共同最高経営責任者。著書(田中氏との共著)に『謎の会社、世界を変える。~エニグモの挑戦』(ミシマ社)がある。

高城 起業を考えたのはいつからですか?

須田 大学の頃からですね。当時、僕の中では社長になるか教授になるかの二択だったのですが、選びきれずに大学院に行きました。そこでコンピュータについていろいろ研究しているうちに、これは研究室よりビジネス競争で揉まれたほうが早く世の中に役立つと思いました。それで大学に残る道は止めて、社長になる道を考えた。

 でも、いきなり社長になっても中身がない。そこでビジネスの現場でいろいろ学ぼうと考えて、博報堂のマーケティングプランナーになりました。そして予定どおり、30歳前後で独立起業に至ったわけです。

高城 博報堂を辞めるとき、未練や怖さは?

須田 それはないですね。お世話になった方々にきちんと恩返しができていなかったので、申し訳ないという気持ちはありましたが。でも、今起業しないでいつやるんだと。

カッコいい自分を思い浮かべる
あとはそこに向かうだけ

高城 会社勤めと会社経営の両方を通じて、ご自身の“強み”は何だと思いますか。

須田将啓須田 まず挙げるとすれば、「思い込み」の強さでしょうか。たとえば子ども時代の話ですが、大好きな魚を食べすぎて腎臓を壊し、2ヵ月ぐらい入院したことがあります。その間、ヒマだったので算数のドリルをずっとやっていたら、退院後にものすごく算数ができる子になっていた。みんなから「算数博士」と呼ばれて尊敬を集めたほどです(笑)。

 すると今度は、逆にそれに自分を合わせるようになりました。「自分は算数がずば抜けているんだ」と思い込んだ。理想としている自分を思い浮かべることで、それにどんどん近づくようにしたわけです。

 こういう姿勢は今も変わっていません。周囲に見せるというより、カッコいいと思える自分の姿が思い込んだら、まっすぐそちらに向かっていく。これが自分の原動力ですね。ITベンチャーの社長として、世の中を変えていく自分がカッコいいなと。だから日々、そこに向けて注力できるんです。