今の怒りや苦しみを客観視しよう

苦しい気持ちや怒りをノートやブログなどに書き出してみるのもいいでしょう。
自分の中にたまったモヤモヤを吐き出し、「見える化」するのです。
たとえば、次のような感じです。

1.介護している相手を責める言葉を書き出す
(どうしてわかってくれないの、なぜ迷惑ばかりかけるの…など)
2.介護中の自分に対する怒りを書き出す
(なぜやさしくできないの、イライラしてばかりで情けない…など)
3.書き出した言葉を眺め、寄り添ってみる
(私、本当にがんばっているよね。でも、苦しいよね。親もつらいんだ…など)

書くだけでなく、口に出したり、気のおけない相手に話すと、さらに効果的です。
遠回りに見えますが、頭の中で考えるだけでは堂々巡りになってしまいます。
書いたり話したりしているうちに、状況を理解し、苦しさを客観視できます。

介護中の人のほとんどが、「親が言うことを聞いてくれない」「自分だけが貧乏くじ
を引いているようだ」「いつ寝られるのだろう」「早く解放されたい」など、たくさんのマイナスの感情を抱えているにもかかわらず、自分の気持ちにフタをしてがんばるうえ、心が折れそうになる自分を「弱くて情けない存在だ」と否定しがちです。

Tさんも、自分なりに「認知症」について勉強もして必死でした。
でも、そうやって自分の気持ちを無理に抑えようとするから爆発してしまい、最悪の場合には、介護殺人などの悲劇が起きてしまうのです。

ノートに書き出すのは、介護のつらさを自分自身で気づくための手段です。
「こんなに大変なんだもの、弱音を吐きたくなるのは当たり前。がんばっているのにせつないね」と自分の気持ちに寄り添うことが大切です。

書いているうちに涙が流れてくるかもしれませんが、思い切り泣いてもいい、叫んでもいいのです。
気持ちを抑え込まずに出してしまうことが、心の重荷を解き放つきっかけになります。