被災地に住む引きこもりの人たちはいま、どんな状況にあるのだろうか。

 震災で大きな被害を受けた岩手県宮古市にある「みやこ若者サポートステーション」を訪ねた。

津波被害の大きかった岩手県宮古市
被災地に住む引きこもりたちの今

 地域若者サポートステーションというと、厚労省の委託事業であり、ハローワークと隣接しているような市街の中心部に立地しているイメージがある。しかし、同ステーションは、JR宮古駅から車で10分ほどの長閑な住宅街を一望できる旧保育園の施設内に開設されていた。

 運営しているのは、NPO法人「みやこ自立サポートセンター」。24年前の1987年に結成された「岩手県不登校を考える父母会」が「若者の自立を考える親の会」とともに主体となり、NPO法人「岩手県青少年自立支援センター ポランの広場」と名称を変えて活動を続けてきた。

 玄関のガラス扉には、連絡の取れなくなった利用者や母親の名前リストが黒マジックで貼り出されている。その後、無事が確認された利用者には丸が付けられ、「無事」とか「自宅」とか「避難所名」などが記されていた。しかし、いまだ所在が不明のままの名前も、少なくない。ここが被災地であることを痛感させられる。

 岩手県内では、この宮古地区をはじめ、12地区で「ポランの広場」の父母会が結成されている。そのうち、宮古など5地区は、津波による被害が大きかった沿岸地域だ。

 同センターが断片的に把握している情報によれば、震災による津波が来ても、家から出られないまま、亡くなった引きこもり当事者が数多くいるという。同センターの理事の母親も、そんな息子を救い出そうとして、犠牲になった。