全体として上方シフトしている点は一目瞭然である。

 また、1990年や95年の頃と直近の2015年とを比較すると、20代が突出していたのが、年齢ごとにゆるやかに減っていく構造に変化したことが分かる。

 かつて、おしゃれは、恋愛や結婚の適齢期である20代の専売特許であり、30代になると家事や子育てに忙しく、おしゃれどころでなかった。ところが、今では、女性のおしゃれ意識が全般的に高くなるとともに、子どもが生まれるのが遅くなり、人数も減ったので、30代以降、中高年に至るまで身だしなみに力をいれる余裕のある時代に突入したのだといえよう。

 2010年から15年にかけての最近の変化としては、50代までの各年代で大きく時間が増えており、特に50代の大きな増加が目立っている。これはアラフォー、アラフィフ、美魔女といった流行語が登場したことと平行した現象であろう。何か、中高年女性と若い女性がおしゃれを張り合っているような感がぬぐえない。

痩身化の傾向をたどる女性
男性は一貫して肥満化へ

 こうした動きは単におしゃれやファッションに止まるものではない。日本女性は体格の改造に果敢にチャレンジしている。

 戦後一貫して20歳代の女性の体格は痩身化の傾向をたどっている。すなわち身長が伸びた割には体重は増えなかったのである。痩せか肥満かの体格はBMI指数であらわされるが、各年齢層のBMIの動きを見た図4をながめればこの間の事情は明解である。

 戦後直後は、若年層の方が中高年より体つきがよかった。栄養を若い者に優先的に与えようという国民の考えが反映していたともいえる。戦後、日本人の栄養状態がよくなるにつれ、30歳代以上の女性の体格は大きく改善されていった。一方、若い女性はスタイルの良さを優先させ、どんどん痩せていった。

 ところが、30代、40代、50代の女性は、それぞれ、1970年代、1980年代、1990年代から、そして、ついには60代も2000年代から、こうした若い女性の動きに追従するスリム化の方向に転じることとなった。今や気持ち的には全年齢の日本人女性が若い女性となったといえる。こうした動きは、まさに、上で見た身のまわりの用事の、年齢別の所要時間の伸びの動向と軌を一にしているといえよう。

◆図4 日本人の女性体格の変化(BMIの推移)

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 なお、20代のスリム化は痩せすぎの弊害を生み、当人やこれから生まれてくる子の健康の上で憂慮される事態となったため、保健医療関係者や政府が是正へ向けた啓蒙をはじめたこともあり、2000年代には反転の動きを見せ始め、30代もこれにならった動きを示している。