【必読ポイント!】
◆入社してからぶつかる「壁」
◇「当たり前」をするのはむずかしい

 中小企業には多くのチャンスがあるが、そのチャンスを実りあるものにするためには、それ相応の力量が求められる。大企業とくらべて人員が少ないため、中小企業に勤める人は、ある程度自力で「戦力」と認められるように成長しなければならないのだ。

 戦力になるためには、その職場における「当たり前」ができるようになる必要がある。だが、これがなかなかむずかしい。日本の経営学の第一人者である伊丹敬之は、「当たり前のことを6割の人が行なっている企業は優良企業である」と述べている。それだけ「当たり前」を守ることは簡単ではないのだ。

 職場のルーキーにまず求められるのも、「ヒットを打つことよりもエラーをしないこと」である。とはいえ、最初は誰でもエラーをするのが普通だ。エラーをするのはやむをえない。むしろ重要なのは、誤った出来事への対処に注力すること、ミスにミスを重ねないこと、そして二次災害の防止に努めることである。ミスをしつつも仕事を覚えていき、信頼を築くことをめざしていこう。

◇まずは「ちょっとできる」をめざせ

 会社で初めて任される仕事の大半は、いわゆる雑用である。とはいえ、とくに人員の少ない中小企業では、悠長に仕事をしているヒマはない。

 作業の手際を改善するためには、漫然と仕事に取りくむのではなく、作業時間を計算に入れながら動いていくことが肝要だ。時間短縮を小さな「達成」として受けとれば、内発的なモチベーション向上にもつながるだろう。

 また、優先順位をつけることも重要である。効率よく仕事をこなしていくためには、それぞれの作業への重みづけは欠かせない。

 ただ、取りくみに優先順位を設けるには、ちょっとした覚悟や勇気が必要になる。というのも、力を入れる内容を選ぶということは、意識が及ばない部分が生まれることを意味するからだ。

 それでも、自分で優先順位を定めたという自覚があれば、たとえ対応が手薄になった仕事のことで叱られたとしても、やむをえないと納得し、次に進めるようになるだろう。

 優先課題に対しては、「そのうちできるだろう」とたかをくくるのではなく、一気に覚えたり身につけたりしようと努めるべきである。たしかに集中的に取り組むことは簡単なことではない。だが、興味・関心の熱が高いうちに集中して行動すれば、「ちょっとできる」という水準まではたどりつけるものである。

 この「ちょっとできる」というのが、後々とても効いてくる。ある程度の技術や理解があれば、その道の人に相手をしてもらえるようになるし、他の事柄とのつながりも見え、習得のスピードがぐっとアップする。