◆社員として成長しつづける
◇ルーティンは新たな挑戦のためにある

 経験は人を成長させる。一般的に、ある段階までは経験を積めば積むほど、できる内容が増えたり、作業の制度や速度が改善されたりするものだ。

 このような事象は、いわゆる「ルーティン」という言葉で説明できる。仕事におけるルーティンのメリットは、「意思決定コストを下げる」ことである。決まった手続きを身につけることで、考えなくてもよい部分が増え、それだけ意思決定にかかる時間や手間が低減される。

 だが、ルーティンにもデメリットは存在する。そのなかでも厄介なのが、ルーティンに甘えてしまうことだ。ルーティンはあくまでも意思決定コストを下げるものであり、それによって何かがうまくいくというわけではない。けっして「これだけやっておけばよい」というわけではないと留意したい。

 とはいえ、一度形成されたルーティンは、なかなか変更がきかない。こうした知識の固定化は、いわゆる「伸び悩み」につながってしまう。これに対する対処を、経営学ではアンラーニング(棄却)と呼ぶ。アンラーニングとは、組織にとって時代遅れになった知識や、すでに妥当性を欠いてしまった知識とそうでないものを区別し、それを置きかえたり捨てさったりするプロセスを指す。

 アンラーニングには、自分をまっさらな状態にするような、ある種の素直さが必要だ。そのためには、自分の手持ちの枠組みでは対応できないかもしれないことに接触し、自分を白紙に戻す試みが有効である。「守りに入る」ことを避け、新たな展開に率先して挑むことが、成長につながるのだ。

◇判断力と教育力がリーダーには必要である

 会社を取り巻く経営環境は刻一刻と変化している。そんななか、リーダーに求められるのは、誰よりも先に戦略を提言し、新たな地平を切り拓くことだ。

 どうふるまってよいかの基準がないときに、適切にふるまうためには、自ら判断する機会を意識的に増やすことを必要とする。たとえば、外食の際にメニューをババっと直観的に決めることも、練習としてはバカにならない。結局、判断基準のないなかで判断を下すときに頼れるのは、自分の身体感覚以外にないからである。