時価総額でフォード、日産を抜いた
テスラの「3つの強み」を読み解く
4月3日のアメリカの株式市場で、シリコンバレーの新興自動車メーカーであるテスラモーターズの時価総額が終値でフォードを抜いた。テスラの時価総額は日本円にして5.4兆円で、この時点では日産自動車の時価総額も抜いてしまっている。さらに時価総額5.8兆円のホンダも射程圏内だ。
このことをアメリカの経済紙は「世代交代」と報じた。今年1月から3月にかけての第1四半期でフォードの売上が振るわなかった一方で、テスラは順調に販売台数を伸ばしたことで、株価の面で一足先にアメリカの自動車業界におけるナンバーツーの交代劇につながったのである。
テスラは天才起業家と呼ばれるイーロン・マスクが興した新興の電気自動車メーカーである。しかし、大手自動車メーカーと比べて販売台数はまだ極端に少ない。直近の四半期での出荷台数は過去最高を記録したとはいえ、2万5000台を超えたレベルである。そのテスラの企業価値がなぜフォードや日産を抜き去るレベルに到達したのか。ここが今回のコラムのテーマである。
テスラモーターズの自動車メーカーとしての特徴は3つある。1つ目は創業当初から電気自動車の製造開発にフォーカスしてきて、技術の蓄積がものすごく大きいことだ。電気自動車に関わる特許の申請も非常に多い。こと電気自動車という製品に限って言えば、新興メーカーながら他社と比べて抜きん出た技術力を保有している。