「スーパー先生」より「親しみある先生」
予備校に求めるものも変化した

 浪人事情の多様化や少子化に伴い、予備校の役割も変わってきた。

 昔の予備校は教え方がうまい「スーパー先生」を揃え、「良い教科書」を用意することが大前提だった。しかし、全入時代では「なんでも身近に相談できる存在」であることが求められている。

 生徒も親も学校の先生以上に進学相談ができる存在として予備校を頼りにしている。

 例えば浪人中の生徒の大半は、「対面授業を好んで受けたがる」(河合塾 進学教育事業本部担当部長・中村浩二氏)という。現役生の場合は部活と学業を両立するため、限られた時間を有効活用すべく、自分の都合に合わせて動画授業を受けたり、スマホで授業を視聴するアプリを使う生徒が多いというが、動画授業は聴き流し、見流ししやすく要点が頭に残りにくいため、受験勉強においては実は難度が高い。そのため、受験勉強一本に的を絞れる浪人の場合は、講師による説明のライブ感と教室の一体感、授業中や休み時間に疑問を質問できる対面形式に魅力を感じる生徒が多いという。 

 また、親たちは子どもの教育に「まったく関与しない」か「積極的に介入する」のどちらかだが、後者の場合は予備校に大きな期待を寄せる傾向が高く、「親の介入はここ4~5年で顕著になった印象」(代々木ゼミナール 代ゼミタワー校教務部本部長・林正和氏)だそうだ。

 少子化によって浪人生の減少は今後も続くだろうが、かつての浪人事情や予備校の常識が現在は変わっているように「当たり前だったこと」の変化は著しい。子どもの世話を焼きたい親たちは昔の体験を元にして取り残されないよう、現代の進学事情にアンテナを張っておこう。万が一浪人することになっても「環境を有効活用できる」と前向きに捉えていきたい。