本連載の著者・丸山貴宏さんの『そのひと言で面接官に嫌われます』が好評発売中!
青春出版社
192ページ
926円(税別)

 不思議なことに、半年も経つと噂で「転職した」とバレてしまうのですが、その頃、元上司にあいさつに伺って「すいません、円満に辞めるためにウソをつきました」と謝ると、たいてい「いや、そうじゃないかと思ったよ。あっはっは(笑)」で終わったものです。トラブルになることはありませんでした。

 現在は部下の退職で上司にバツ印が付けられることはまずないので、退職理由は正直に伝えればよいでしょう。

 最近、私が指導をお願いしているトレーニングジムのトレーナーから、「会社を辞めて独立したい」と相談を受けたときのことです。

「それなら正直に『独立します』と会社に伝えたほうがいいですよ。すぐに、というと角が立つかもしれないので、『落ち着いたら』とか、『ゆくゆくは』といった修飾語をつけても構わないですから。狭い業界でいずれ知られるのだから、『よろしくお願いします』ときちんと仁義は切ったほうがいい」

 そうアドバイスしたところ、彼はその通り実行して独立する意思を社長に伝えました。すると、会社は拠点を閉鎖統合するタイミングであったため、社長はこう言ってくれました。

「独立するなら、いらなくなったトレーニング機器があるから持っていくといい。拠点の統合で来られなくなるお客様もいるから、お前が引き継いでやってくれ」

 社長も素晴らしいですが、もう渡りに船の展開になったのです。

 たまたま会社の都合と個人の独立のタイミングが一致しただけで、こんな超・円満退職となったケースはめったにありませんが、正直に独立を告げていなければ「トレーニング機器を持っていくといい」という話は出て来ませんし、後に、他人から独立の事実を聞かされたら、社長は気を悪くしたかもしれません。やはり退職理由は正直に伝えるのが無難といえるでしょう。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)