トヨタ自動車の“おひざ元”愛知県豊田市内で昨年秋、立ち乗り型のパーソナル移動支援ロボット等の実証実験が行われた。参加者の反応は興味深く、市中心部で走行可能になった場合、約25%が交通行動を変える可能性があると答えたという。トヨタのエコカー戦略と合わせて、都市内交通の行方を考察した。
2010年10月初旬から中旬にかけて、トヨタ自動車の“おひざ元”愛知県豊田市内を、変わった外観の“乗り物”たちが駆け巡った。トヨタが「パーソナルモビリティ」と呼ぶ、立ち乗り電動車(実験車両)の「Winglet(ウイングレット)」と一人着座式電動車の「i-REAL」だ。
本連載で前回取り上げた、国土交通省・都市・地域整備局、同省自動車交通局が推進中の「平成22年度環境対応車を活用したまちづくりに関する実証実験」の一環として行われた実験の様子である。この環境対応車のなかに平成24年(2012年)度に試験車両導入を見込む「超小型モビリティ」が含まれている。豊田市がその実証実験の場所になったのだ。
参加したのは、豊田市が事前に学校、商工会議所、老人ホームなどを通じてモニター募集した10~60歳代の男女。「ウイングレット」には80人が乗車。「i-REAL」には24人が乗車し、年齢内訳は60歳代が約33%、20歳代が約21%、30歳代と50歳代が約17%、40歳代が約4%だった。なお、ウイングレット同士のすれ違いなど、一部の走行パターンはトヨタの開発者が行った。
実験は、豊田駅から2分ほど歩いたところにあるホテルトヨタキャッスル横の民有地内の長さ64.8メートル幅2.5メートルの道で行われた(同ホテルは、歩道からセットバックして建てられているため、歩道と同ホテルの間に、一瞥すると歩道のように見える民有地が存在する)。
実験には、スズキの医療用電動車「セニアカー」も使われた。これらを単独走行させたほか、歩行者や自転車などと一緒に走らせた。「ウイングレット」同士、「ウイングレット」と歩行者、セニアカー、自転車等との縦列走行、並列走行、すれ違い、追い越しといった具合だ。「i-REAL」でも同じ実験が行われた。