企業のノマド導入は
セキュリティより「社員満足」がポイント

 ただ、企業のノマドワーキング導入には必ずセキュリティの問題がついて回ります。顧客情報が入ったノートパソコンを社員がうっかり紛失し、その情報が流出しまったら、社会的信用を失うばかりか、損害賠償による損害も甚大。リスクマネジメントの観点からノマドワーキングのスタイルを認めないという企業も少なくありません。

 しかし、情報のアクセスにきちんとしたルールを設け、パソコンへのアクセスにセキュリティの仕組みを導入すれば、そうした問題は十分にクリアできるため、外資系企業を中心に公式にノマドワーキングを導入している企業は多数あります。

 先日、私は「モバイルワークスタイルフォーラム」というイベントを開催し、ノマドワーキングの導入に成功している企業の方々をお呼びして、お話を伺う機会があったのですが、成功のカギはすべての情報のセキュリティをガチガチにすることではなく、本当に守るべき情報を峻別し、社員満足度をアップさせることにあるそうです。

 後者は意外な要素でしたが、社員が不満を持つような組織では、悪意による情報漏えいがやはり起こるのだそうです。

 経営者には耳が痛いかもしれませんが、結局大切なのは、セキュリティのシステム以上に、社員ができるだけストレスなく働ける環境を作るということのようです。

 どれだけ完全なセキュリティを導入しても、社員が不満を持っていたら、内側から壊れていくもので、それは防ぎようがないのです。

 参加者のお一人が、次のようにおっしゃっていました。

「ICT(情報通信技術)を活用し、労働生産性とワークライフバランスを向上させているのが世界の企業。リスク要因ばかり並べてICTを労働生産性向上に活かさず、社員の残業と不満を増やしているのが日本企業」

 2009年の労働生産性の国際比較レポートによると、日本はOECD加盟30カ国中20位、先進7カ国中で最下位という状況にあります。

 この夏の省電力対応シフトをキッカケに、こうした不名誉な評判を返上したいものです。パソコン1台あれば、「どこでもオフィス」にできてしまう日本のインフラの潜在力を活用しないのは、もったいない限りです。

 企業もビジネスパーソンも、暑い夏を迎える前に「ノマドワーキング」について、ぜひ検討する価値があると思います。