カビだらけの物件も!
劣悪なシェアハウス事情

 実はAさんのように、金銭的な理由でシェアハウスに住み続ける人は都市部を中心に一定数いるという。なぜ、若者たちはシェアハウスから抜け出せないのか。その背景を、首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター特任研究員の小田川華子氏に聞いた。

「シェアハウスの問題は、ワーキングプアや非正規雇用の若者の増加と相まって浮上してきました。雇用が安定せず、アパートの初期費用や引っ越し代を払う余裕のない単身者が、初期費用の安いシェアハウスを選択するのは自然な流れだったのでしょう」(小田川氏、以下同)

 一般的な賃貸住宅よりも、シェアハウスは圧倒的に初期費用が安い。10万円以内で入居できる部屋もザラにあり、「初期費用は家賃1ヵ月分のみ」「入居1ヵ月目は家賃半額」といった謳い文句で入居者を募る物件も多い。入り口のハードルがかなり低いのだ。

「親元を出てシェアハウスに住んだものの、経済的な理由で自立が難しかったり、シェアハウスの暮らしが合わなかったりして、再度実家に戻る人が多いのが実情です。ただ、事情があって親を頼れない、もしくは実家が職場から遠いという人はシェアハウスに住み続けるしかありません」(小田川氏)

 さらに、月々の家賃が払えなくなるほど困窮すると、ネットカフェやカプセルホテルでしのぎ、1ヵ月分の家賃が貯まればシェアハウスに移るなど、寝床を行き来する人もいるという。また、経済的なゆとりがないと、前述のAさんのようにあるきっかけで賃貸からシェアハウス住まいとなった場合、その後なかなか抜け出せないということもある。

「学生生活が終わり、自立して自生計を建てていくまでの過程を“若者期”といいます。『若いうちはシェアハウスでも仕方がない』という考え方の人もいますが、それが一時の状態では済まなくなってきているのが問題なのです」(同)

 さらに、シェアハウスの中には「人が住む場所としてはあまりに規格外」な物件もあると小田川氏は指摘する。

「6畳の部屋に2段ベットを2~3つ搬入して複数人住まわせている物件や、部屋内に窓がひとつもない物件など、明らかに建築基準法に反しているシェアハウスも存在します」(同)