シェアハウス住まいは自己責任?
困窮者が救われない日本の制度の問題点

 小田川氏が例にあげたような、窓がないようなシェアハウスは、建築基準法を無視した「脱法シェアハウス」として摘発された例もある。経済的に困窮している人の足元を見た商売だが、こうしたシェアハウスは、劣悪な住環境の割には月々の家賃が高額な場合も多い。家賃を払うだけでもギリギリの状態だと、アパートへの引っ越し費用など貯める余裕はないだろう。

「すべての人が健康で文化的な生活を送るために適切な住居に居住できる権利というのは、日本国憲法第25条でも定められています。しかし、そのための社会保障制度が整っていないが今の日本の現状。脱法シェアハウスもそうですが、制度のないところに貧困ビジネスがはびこる。それは、困窮した人を貧困に押しとどめておくことでもあるのです」(同)

 日本の住宅保障制度のひとつに公営住宅という手段がある。だがそれも圧倒的に戸数が少ないため、シングルマザーや高齢者、生活保護受給者といった人たちが優先的に入居していく。こうした保障の対象から漏れてしまった人は、劣悪な住居に住まざるを得ない状態になっているのだ。

「住宅保障制度の導入が進まない背景には、日本人の住居への価値観も影響していると感じます。講演などで住宅支援について話をすると、『頑張って貯金をして家を買った人もいるのに不平等ではないか』という意見をもらうことがあります。日本では、住宅は自分でローンを組んで買う『私財』という考えが根深い。でも本来、住居は人間らしく生きるための基盤として、教育などと同様にすべての人に保障されるべきものではないでしょうか」(同)

 住居が努力して手に入れるべき「私財」という認識なら、それを手に入れることができないのは、本人の「自己責任」ということになる。シェアハウス難民は、こうした価値観のもとで醸成されてしまった、日本の劣悪な住宅環境が生み出した問題の1つなのだ。