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現金好き日本人に
デジタル決済をどうやって使わせるか

――PayPal日本法人代表に聞く

大河原克行
【第146回】 2017年5月18日
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PayPalをどうやって知ってもらうのか

――しかし、日本の企業が、現時点で、PayPalを積極的に活用したいと思う段階には至っていないといえます。これは、そもそも使う意思が薄いのでしょうか。それとも仕掛けが足りないということなのでしょうか。

曽根 それは、我々の仕掛けがまだ足りないということだといえます。それを捉えるには、PayPalを「まったく知らない」のか、あるいは「名前は知っているが、理解されていない」のか、「理解をしていても使う気にならない」のか、といったように、企業がこの3つの段階のどこにあるのかを知る必要があります。いま、我々がチャレンジしなくてはならないのは、「知らない人」と、「知っているが理解していない」方々へのアプローチです。まだ初期段階のアプローチともいえますが、ここに、フォーカスして、マーケティング活動やプロモーション活動を行い、認知度を高めていくことになります。

 とくに、中小企業やベンチャー企業の間からは、自らの企業規模に最適な決済手段がほしいという声が出ていますし、直近の実績を見ても、そうした機運が高まりつつあることを感じています。我々に対する問い合わせの数や、問い合わせ後にPayPalの利用を開始した企業の比率、さらには、PayPalの利用を開始した企業における利用者数の増加を見ると、昨年から、その成長曲線が大きく変化してきたことを感じます。これも、新たな段階に入ってきたことを示すものだといえます。

 もうひとつ大切なのは、PayPalを知ってもらい、理解してもらった人たちが、使いたいと思ったときに、しっかりと使える環境を用意するということです。実は、「知っていて、理解はしていても、使えない」という方々もいます。使えないことを解消するのは大切な要素です。

――「使えない」というのは、技術的なハードルのことを指しますか。

曽根 いえ、技術というよりは、使える環境や、きっかけをしっかりと提供するという点です。これに関しては、我々が、中小企業とのパートナーシップやオンラインサービスを提供している企業とのパートナーシップを通じて、もっと積極的にカバレッジしていく必要があると思います。それによって、PayPalを使える機会が増えれば、「使えない」という環境は解消できると考えています。

 オンラインショッピングや宿泊施設でも、彼らが使用しているマーケットプレイスのプラットフォームで、PayPalが利用できるようになっていれば、PayPalの良さを理解してもらうたけで、すぐ使ってもらえます。それができていなければ、知ってもらって、理解してもらっても、「使えない」ということなってしまう。それでは意味がありません。マーケットプレイスを展開する企業をはじめとしたパートナー企業各社との連携を密にして、より認知度を高め、理解をしてもらうための活動を進めたいと考えています。

 消費者は、クレジットカードのほかにも、Suicaなどを使ったり、ビットコインを使ったり、そして、PayPalを使ったりといったように、様々な方法で決済できると考えていますが、一方で、オンラインで店を開きたいと考えた場合、クレジットカードの決済手段しか頭に思い浮かばない、ということになっているのではないでしょうか。払い手側(消費者)のソリューションは発達しているが、受け手側(企業)のソリューションが発達していないというアンバランスさがあります。

 企業側が、いつでもPayPalを選択できる環境を作ることことが、当社にとってのビジネスチャンスの拡大につながると考えています。むしろ、「使えない」という環境を改善することは、日本における最重点テーマだと捉えています。そして、日本において、PayPalの導入事例をもっと紹介していきたいですね。

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