イオンが2017年度から3カ年の中期経営計画を発表した。ところが、営業収益や営業利益などの数値目標は発表されずじまい。苦戦が続く本業の立て直しと成長戦略は不透明なままだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
4月12日、東京都内で開催されたイオンの2016年度の決算説明会は、白け切った空気に包まれていた。
16年度は3カ年の中期経営計画の最終年度。当初は決算発表よりも一足早く、3月にも新しい中期計画をお披露目する予定だった。ところがそれが先延ばしとなり、待たされた揚げ句に発表された中期計画には、営業収益や営業利益などといった数値目標が一切示されていなかったからだ。
会見で数値目標がないことについて問われたイオンの岡田元也社長は、「まだ議論をしている。非常に多くの変革をしなければならず、時間をかけるべきだと思っている」と述べるにとどめた。
営業収益8兆円以上、営業利益2800億円以上──。これが前回の中期計画で掲げていた16年度の目標だった。
この日発表された決算では、16年度の営業収益は過去最高の8兆2101億円(前期比0.4%増)を記録し、中期計画の目標を達成。一方、営業利益は2年連続で増益となる1847億円(同4.4%増)だったが、目標を1000億円近く下回った(図(1))。
深刻さを物語っているのは、営業利益の内訳である。
営業収益では全体の1割にも満たない銀行などの金融事業と、イオンモールのテナント収入を主とする不動産事業が、それぞれ619億円、468億円の営業利益をたたき出し、稼ぎ頭としてけん引。
片や、本業となる総合スーパー(GMS)事業の営業利益は、前年度から69億円減益となる24億円まで落ち込んだ。3兆円を超す営業収益があるにもかかわらず、営業利益率が0.1%にも満たないのである(図(2))。
「計画は常にチャレンジングで高い目標を掲げてきた」と、若生信弥副社長は中期計画の目標が未達に終わった理由を釈明するが、ここまでの本業の落ち込みは、一連のGMS改革に疑問符を突き付ける結果となっている。