経営・管理ビザで入国し
健保に加入して「3割負担」

 たとえば、悪性黒色腫と非小細胞肺がん、腎細胞がんなどに適応する薬として承認された「オプジーボ」。病状やステージなどにもよるが、薬代だけで1日当たり3万9099円はかかる。年間で見てみると、体重40キログラムの人の場合約1144万円、60キログラムの人で約1792万円かかる計算だ。

 そのライバル薬としてMSDが発売、悪性黒色腫と非小細胞肺がんなどに適応するとして承認された「キイトルーダ」でも、年間1427万円はかかるとされている。しかも、あくまでこれらの薬は症状を悪化させない意味合いが強く、長期間にわたって投与する必要があるのだから、その費用はかなりの金額に上る。
 
 もちろん、がんの種類や症状によって治療法や薬は異なり、すべての患者がこれだけの費用を負担しているわけではないが、いずれにしても治療費は高額だ。では、こうした費用を、なぜ一般の中国人が負担することができるのか。そこにはあるカラクリがある。

 中国でがんと診断され、2ヵ月前に夫と一緒に来日、がんの専門病院で治療を受けている40代の女性は明かす。

「渡航費、滞在費、治療にかかる費用など、合わせて300万円程度でいいと業者に誘われ、日本にやってきた」

 関係者によれば、この女性が日本で治療を受けた場合、実際にかかる費用は一般的に見て1000万円程度だとみられる。それが3分の1程度の負担に収まっているのは、来日する際の「ビザ」に理由があるのだ。

 通常、日本で病気を治療する際には、「医療滞在ビザ」で入国する。しかし、この女性の場合、「経営・管理ビザ」で入国していた。

 これは、日本で会社を経営するため滞在する場合に発給されるビザ。こうしたビザで入国し、3ヵ月以上合法的に滞在していれば、国民健康保険の加入が義務付けられる。もちろん、保険料を負担しなければならないが、同時に医療費が「3割負担」で済むという“恩恵”を受けることができるのだ。負担する必要がある保険料についても、前年に日本で所得がない場合、月額わずか4000円だ。

 この女性は、決して日本で会社を経営しているわけではない。事情に詳しい医療関係者によれば、「経営・管理ビザは、資本金500万円以上で会社を設立、その代表取締役が申請できるもの。そこでペーパーカンパニーを設立して、ビザを申請しているのだ」という。