ここ数年、グローバル化を着々と進めてきた資生堂だが、足元の国内事業は売上高も営業利益も減少傾向に歯止めがかからない。この難局に前田新造会長からバトンを託された末川久幸社長に改革継続への意気込みを聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)
2005年に前田(新造)会長が社長に就任して一緒に中期経営計画を作ったとき、10年までの6年間で資生堂を変えたい、という夢を2人で共有していた。
05~07年の3年は、ブランドを集約して広告や開発リソースを重点ブランドに集中投下する「メガブランド戦略」が奏功し、景気の後押しもあって業績が伸びた。本来なら、業績が好調なその時期こそ、改革を実行するチャンスだった。モノづくり、営業の活動、美容部員の活動を100%顧客志向に変え質を高める改革だ。ところが、前半の3年があまりに調子がよかったために、社内に安心感と油断が生まれ、改革が後戻りしてしまった。
化粧品事業は、過去あまりに成功した体験を持ったがゆえに、それが社員の体や会社の芯にまで染みついている。だが、国内事業が危機的状況に直面している今こそ、資生堂を絶対に変えるという強い意志を持ち、成功体験を捨て去り、改革をやり遂げる。