英国や米国では二大政党制は維持されているが、支持基盤などはかなり変わっている。例えば、民主党支持者が多かった旧工業地域の白人労働者がトランプ大統領を支持するなど、政党と有権者の関係は流動化し、選挙に影響力をもっているのは無党派層だ。

 英米では政党が多様な民意を巧みに汲み上げるところがあるが、「Brexit」で親EU派と離脱派が入り乱れ、党としての方針をまとめきれなかった英国の保守党に象徴されるように、既成政党の力の衰退が目立っている。

先進国の中流層が受けた
グローバル化の負の影響

──ポピュリズム台頭の背景をどう考えますか。

 2000年代以降、EU統合やグローバリゼーションが加速したが、先進国のいわゆる中流層はグローバル化や技術革新の負の影響を大きく受けた。

 企業が途上国に生産をシフトしたために賃金が伸びなかったり、雇用自体が縮小したりしたために、繁栄や成長から「置き去りにされた」と感じる層が出現した。グローバル化にうまく乗った企業や地域と、そうでない層との格差拡大や移民の流入が増えた。

 だが、こうした状況に既成政党は十分な対応策をとれなかったため、既成政党と支持層との関係に亀裂が生まれた。国民国家の枠組みで、雇用を維持したり社会保障を実現したりすることが難しくなり、逆に年金の切りつめや失業手当などが削減されて、支持層の反発と離反を招いた。

 既存の政党や団体は、個々人の忠誠心の対象ではなくなっているばかりか、むしろ不信感を抱かれる存在となっている。それに代わる形で、ポピュリズム政党が不満を吸い上げる受け皿になった。その意味では、ポピュリズムはもはや現代の先進国にビルトインされた観がある。

──極右だけでなく、左派のなかでもポピュリズム政党が出ています。

 ポピュリズム台頭の第一期は1990年代だが、この時期は既成政党や既得権益層への反発という形で、規制緩和などを求める新自由主義的な思想と共振しながら広がった。この時期はまだ欧州でも反EUなどの動きはなかった。

 ところが、リーマンショック以降の第二期になると、グローバル化やEU統合の下での格差拡大への不満が前面に出て、それに移民批判が加わった。中間層では移民に自分の雇用を奪われることはなくても、安全な生活環境を脅かされたり、流入した移民の生活を自分たちの負担で支えたりすることへの不満から、移民を排斥する「排外主義」が前面に出てきた。

 当初は、民族主義的な極右政党が中心だったが、オランダ自由党のように、イスラムの政教一致や女性差別などを批判して、「イスラムとの戦い」を掲げる政党などが出てきた。政教分離や男女平等を訴え、返す刀で、「近代的な価値を受け入れない」移民やイスラム教徒を批判する。リベラルな価値を突き詰めることで移民排除を訴えるという論法だ。