秋入学によって企業は何が変わるのか

 秋入学は世界の大学のグローバルスタンダードとなっている。東大は秋入学を導入することによって、留学生の交換が円滑に進み大学の国際化を加速させ、入学までに社会経験(ギャップイヤー等)を積ませることができることも期待しているようだ。その一方で、明治維新以降、わが国では春入学・春卒業(=春入社)が社会慣行として広く定着しており、今回の東大の試みは企業の採用活動に影響を与えることは必至であると見る向きも多い。

 確かに、一見すれば、秋入学(秋卒業)は、春入社を前提とした企業の採用活動と矛盾するようにも見える。しかし、本当にそうだろうか。原点に戻ってよく考えてみよう。秋卒業と春入社の間には半年余りのタイムラグが存在する。このタイムラグがどういう問題を引き起こすのだろう。以下に簡単に整理してみた。

①春入社を変えない場合
約半年のタイムラグの期間は、入学前と同様、ギャプイヤーとして社会経験を積めばいい。あるいはもっと前向きに考えて、大学の4年間はひたすら学業に専念し、卒業後のこの半年の間に就職活動を行えばいい。
②一刻も早く働いてほしい場合
秋入社もしくは通年採用に切り替えればいい。

 このように考えれば、秋入学が企業の採用に少なくとも決定的にネガティブな影響を与える可能性は、ほとんどないと思われる。