当然と言えば当然だが、政治家の仕事は様々な利害関係者からの意見を調整することである。通常の仕事と比べれば、ストレスは大きい。タバコで一服することで平静を取り戻すということが、生活習慣として結構重要なのだ。

 そういうわけで、冒頭にお伝えしたように、官僚と議員の間でこのタバコに関する法案の綱引きが、大きな問題になっているのである。

加熱式タバコには本当に
受動喫煙リスクがあるのか?

 さて、この健康増進法について、陰でもう1つ重要な論争が起きている。アイコス(IQOS)やブルームテックなど、今ブームになっている「加熱式タバコ」の扱いをどうするかだ。

 加熱式タバコというのは、従来のタバコのようにタバコの葉を燃やすのではなく、ペースト状にしたタバコの葉を加熱して、蒸気を吸いこむタイプの新製品である。市場では外資のフィリップモリスが先行し、日本たばこ(JT)がその後を追っている。

 実は、タバコが健康に有害であるという根拠の大半は、タールが体内に入ることによる。タールが発生するのは、タバコやタバコの巻紙を燃やすからだ。加熱式タバコではタールが出ない。タバコのニコチン成分だけを蒸気にして吸う。だから喫煙者にも、受動喫煙の可能性がある周囲の人たちにも、従来のような健康被害は出ないのではないかと期待されている。

 実際私の周囲を見ると、紙巻きタバコからアイコスに乗り替えた知人たちによる加熱式タバコへの評価は高い。切り替えて数週間で「健康になってきた」と口をそろえて言うのである。「同じタバコで健康も何もないだろう」と私は思うのだが、喫煙者の立場からすると、タールが体内に入らないことは「不健康の中での健康の度合い」が全然違うそうなのだ。