「仕入の見える化」で
コストダウンや不正防止を実現!

 仕入業務がシステム上で一括管理されることで、店舗オペレーションにおける負担の軽減(=効率化)だけではなく、紙の伝票管理ではできなかったことができるようになります(=高度化)。それは「仕入の見える化」であり、その結果としての「発注精度の向上」「コストダウン」「不正防止」などです。

 たとえば、仕入金額や仕入量は月ごとだけではなく、週ごとや日ごと、業者ごと、食材ごとに見ることができるため、日々の仕入内容や原価を正確に把握しつつ、無駄な仕入を省いて原価率をコントロールしたり、仕入に問題があったときにはさまざまな観点から原因を探り、すぐに対策を立てることが可能です。

 言うまでもないことですが、飲食店の経営にとって原価率が数%変わるというのは非常に大きなことです。取引先との値交渉やメニュー価格の見直しなど普通の営業努力をして原価率を1%下げようと思うと、それはそれは大変な手間や試行錯誤が必要ですが、発注の精度を向上させれば、意外と簡単に数%削ることができます。これは個店でもありがたい話ですが、複数店舗ではより有効になります。

 複数の店舗を経営しているオーナーには、さらに嬉しい効果もあります。紙の伝票のときは各店舗がそれぞれに発注をしていたためにグループ全体としての発注数がつかみきれないことが多々あります。しかし、「BtoBプラットフォーム受発注」を使えば簡単に各仕入商品の全店合計の発注数がわかり、スケールメリットをより活かしやすい状況を作り出せるのです。

 複数店を経営しているオーナーにとっては、人に任せている店で適正に仕入業務が行なわれているかどうかも気になるところだと思います。「BtoBプラットフォーム受発注」ではすべての取引が透明化されて、オーナーは系列店すべての仕入状況を画面上でチェックできます。そのため、不正が疑われるような取引(たとえば、特定の食材を通常よりも明らかに高い値段で仕入れていたり)を早期に発見することも可能です。

 気になる導入コストですが、初回セットアップが店舗数によって35万円(20店舗以下)~100万円(101店舗以上)かかるほか、ランニングコストとして外食チェーン本部が毎月2万3000円~、各店舗が1店につき1300円かかります。

 決して安くはない金額であるため、インフォマートとしては5店舗ぐらいからの導入を推奨しているそうですが、本当に科学的で合理的な飲食店経営を実現したいなら、1店舗からでも導入を検討する価値のあるシステムなのではないでしょうか。

 実際、飲食店の業務のIT化に対して先進的な考えを持っている経営者はもっと早い段階から導入をしています。「オリエンタル・ビストロ アガリコ」など都内を中心に個性的な飲食店を展開する株式会社Big Bellyの大林芳彰社長もそのひとりです。
後篇へ続く)