深田 晶恵(ふかた あきえ)
ファイナンシャルプランナー (CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さ ない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い手寄り」のマネー情 報を発信している。15年間で受けた相談は3000件以上。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」のをモットーとしている。日本経 済新聞夕刊、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。おもな著書に『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版』(ダイヤモンド社)、『女子必読!幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)などがある。
所属先:(株)生活設計塾クルー http://www.fp-clue.com/
ブログ:「お金のおけいこ」http://www.akie-fukata.com/
twitter:http://twitter.com/akiefukata

朝倉 ありがとうございます(笑)。新興国に投資する投資信託も低コストのものが登場して、投資環境が整ってきていますからね。

 ただし、資産運用は余裕資金で行うのが大前提。私の本は運用にフォーカスしていますが、深田さんが『30代で知っておきたい「お金」の習慣』で書かれているような、トータルなファイナンシャルプランニングの視点を持つことが大切です。カットすべき支出を削ってベースとなる預貯金を作り、余裕資金ができて、初めて運用の話に入れるわけですからね。

 深田さんは「積立でお金を貯め、残りで生活する」「保険と住宅ローンでお金をムダに使わない」「男女ともずっと仕事を続ける」という3つのポイントを挙げていらっしゃいますが、基本的な考え方は私も同じです。

「日々の節約だけでなく
固定費を減らすことに目を向けて」(深田)

深田 私はいつも、セミナーなどで「お金に対する不安を払拭するためには、『減らさない力』『貯める力』『殖やす力』をつけましょう」というお話をしているんですが、なかでも一番大事なのは「減らさない力」なんです。ムダな支出をカットすることで生涯の収支は大きく改善しますから、お金を貯めたり、余裕資金を作って運用に回したりするのもぐっとラクになります。

 支出カットというと多くの方は日々の節約を思い浮かべるようですが、固定費を減らすことに目を向けてほしいですね。例えば毎月1万円の支出をカットできれば、年間12万円、10年で120万円も支出を減らせます。これを貯めたり運用に回したりすれば、それだけ余裕が生まれるでしょう。 

 この点、見直しがいがあるのは、生命保険と住宅ローンです。たとえば保険会社で勧められるプランに夫婦で加入した場合で試算すると、保険料の支払いは50年間で2100万円を超える計算。しかし、ポイントを押さえて必要な時期に必要な分だけ加入すれば、保険料を約1200万円もカットできるんです。

 「いまは月々の保険料を払えるから」「この返済額なら毎月返していけるから」などと“点”で考えず、「ずっと払い続けると保険料はいくらになるのか」「住宅ローンの利息負担はトータルでどれくらいになるのか」など、長期的な視野に立って考えることが大切です。30代がマネープランを考える際は、「年間では?」「10年では?」というように積算して考え、長期的な影響を把握し、見直せるものは積極的に見直すことがポイントと言えます。