必要な知識を身につけたら、さっそく行動を!

朝倉 資産運用においても、長期的な視点を持つことは欠かせません。「いつまでにいくら必要か」「そのためにはどんな運用をすべきか」を明確にしておかないと、「1年で2倍に値上がりしたファンドがある」といった“おいしそうな話”を耳にした時、「自分にとって必要かどうか」という視点が欠落して「儲かりそうだから買ってみようかな」などと惑わされてしまいがちです。

 30代の人が20~30年後を見据えて老後の生活資金を築くことを目的にするのであれば、準備すべき金額とそれまでの期間、投資できる余裕資金の額と毎月積み立てできる額を把握し、必要な年間の投資利回りを見積もって、それを達成するためのポートフォリオを組んで積み立て投資をしていくのが王道でしょう。

 積み立て投資では、毎月一定額を購入するため、「基準価額が高い時は少なく、安い時はたくさん買う」ことになりますから、“高値づかみ”をせずにすむというメリットがあります。長期的には平均取得価額を引き下げる効果がありますから、値動きが大きい資産に投資する際は、積み立て投資が適しています。

「減らさない」「貯める」&「殖やす」で<br />30代のお金の不安は解消できる!約2時間におよんだ今回の対談では、第三者の目から投資や家計に関する問題提起とアドバイスをしてきたお2人ならではの、忌憚のないご意見が数多く飛び出しました。

 私は20~30年の長期運用を前提として新興国に積極投資することを勧めていますが、新興国の資産は値動きが大きく、運用期間中には大幅に下落することも考えられるでしょう。一般に、投資においては「自分の買い値」が評価基準になってしまいがちです。100万円で買ったものが80万円になれば「値下がりした」と考え、その後100万円になれば「戻ったから売ろう」などと思ってしまうものでしょう。

 しかし、基準価額の上下があっても、長期的には右肩上がりに成長すると期待できるのであれば、自分の買い値で評価して売り急ぐべきではないんです。この点、積み立て投資には、買い値を気にせず値動きの推移にも惑わされることなく投資を続けられるというメリットもあるんですよ。

深田 最後にもう一つ、30代の方にアドバイスするとすれば、「情報を得て納得できたら、すぐ実行に移すこと」ですね。有益な情報も、具体的な行動を伴わなければ意味がありません。以前、私が書いた住宅ローンに関する本を読んだ方が「いま借りている住宅ローンの金利も交渉次第で下がる可能性がある」ということを知って、すぐ銀行に交渉に行ったら、その場で金利が1%近くも下がったというケースがありました。総返済額にすると数百万円もの差になったんです。

 積み立て貯蓄や固定支出のカットは、一度実行に移せば、あとはほったらかしでも効果が持続します。まずは、時間とお金に余裕を作ること。そのうえで少しずつ長期的な資産運用も始めていけば、将来への不安は解消できるのではないかと思います。

――ありがとうございました。
 


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