最頻値で見たとき、減額幅が小さかったのは高齢者世帯(▲1%~2%が約40%)、大きかったのは母子世帯(▲6~7%が約40%)だった。なお最頻値ではなく、減額された人員が50%を超えるラインで見ると、引き下げ幅は高齢者世帯で▲2~3%、母子世帯で▲5~6%となり、差は縮まる。

 ともあれ、ここで念頭におくべきなのは、高齢者世帯に支給されていた「老齢加算」が、2006年に廃止されたことだ。1960年、「最低限度の生活」のために必要と認められて創設された「老齢加算」は、2004年、加算本来の考え方と異なる検討がなされた結果、廃止が妥当と結論づけられた。老齢加算が廃止されてしまったので、高齢者世帯に対しては、もう「下げしろ」がなくなっていたと考えることもできる。

 資料からは「現在、最も消費していない高齢者(単身)世帯」と「現在、最も消費している母子世帯」の比較を迫るかのようなトーンが匂い立つので、本記事でもこの2種類の世帯に注目して眺めてみる。

 まず、2013年の生活保護基準の減額が、2種類の世帯の消費にどのような影響を与えたかを見てみよう。また、一般世帯と比較してみよう。

 2013年以後、生活保護世帯に限らず、暮らし向きはジリジリと苦しくなっている。エンゲル係数も、ほぼ全世帯でジワジワと上がっている。輸入される小麦粉などの重要食材が円安により値上がりした上、天候不順により、野菜の価格がしばしば高騰している。昨年、北海道に上陸した台風の影響により、まずタマネギを大量に使用するカレーショップの経営が苦しくなった。現在はポテトチップスが品薄となっている。

 資料では、2012年度から2014年度の、なぜか8月から3月が比較されている。さらに2014年度は、なぜか一般世帯は8月~12月のみである。私はどうしても、「もしや、光熱費で何か操作を行う意図でも?」などと考えてしまう。データが揃わなかったのなら、せめて同月・同期間の比較であってほしい。

母子世帯は何を諦めているのか?
エンゲル係数に隠された「まやかし」

 ともあれ、まずはエンゲル係数に注目してみよう。

 最新の2014年、一般世帯全体のエンゲル係数は24.9%だったが、生活保護世帯全体では31.2%だった。この差から浮かび上がってくるのは、生活保護世帯の生活の苦しさに他ならない。

 さらに2012年から2014年にかけてのエンゲル係数の伸び率を見ると、総支出が増加している一般世帯の8.7%に対して、総支出が減少している生活保護世帯は4%。総支出が減少する中での生活保護世帯の食生活は、生活の苦しさの指標の1つであるエンゲル係数の伸びさえ鈍るような状況にある可能性、一言で言えば“劣化”している可能性がうかがえる。これは、私が取材を続けている生活保護世帯の食生活の変化に見られる実感と一致する。