消費者の見えないニーズを探るため、具体的に何を行うか

 前回は、BCGデジタルベンチャーズ(BCGDV)では「イノベーションフェーズ」、「インキュベーションフェーズ」、「コマーシャリゼーションフェーズ」という3つのフェーズで、新規事業を創出し、スケールアップしていくというお話をしました。今回は、その中でも「イノベーションフェーズ」に焦点をあて、顧客のニーズを充足するようなアイデアを引き出すためのメソッドについて、BCGDVのメンバーである島田、安部が平井に代わりお話ししたいと思います。

 Steve Jobsの有名な言葉のひとつに、“It's really hard to design products by focus groups. A lot of times, people don't know what they want until you show it to them.”(フォーカスグループでプロダクトの方向性を決めるのは、きわめて難しい。多くの場合、人は具体的なモノを見せられるまで、自分が何を欲しいかわからないものだ)というものがあります。

 顧客や消費者のニーズを察知し、それに応えるための提案をする、というのはビジネスを成功させるための必須の条件です。では、まったく新たなビジネスをつくり上げる時、そして、ユーザー本人ですら自覚していない、潜在的なニーズを探り出すためには、一体どうしたらいいのでしょうか。

「イノベーションフェーズ」では、大きく分けて、デザイアビリティ(ニーズがあるのか)、フィジビリティ(技術面・法制面から実現可能なのか)、バイアビリティ(事業性はあるのか)という3つのポイントを検証していくことになります。中でもデザイアビリティの大きさは、事業規模に影響を及ぼすことから、実現可能性や事業性の検討に先駆けて、どういうニーズがあり、そのニーズがどれくらい強いのか、という点を検討していくことになります。