駆虫薬はなし! 加熱か冷凍、
生食しないのが一番の予防

 現時点ではアニサキス幼虫に対する効果的な駆虫薬は存在しない。よって予防が重要となる。厚生労働省の注意喚起では、事業者に「加熱」「冷凍」「内臓の除去」「目視による除去」などの徹底を呼びかけている。アニサキス幼虫は60℃の加熱では1分で、70℃以上では瞬時に死滅するのだ。また同喚起ではマイナス20℃で24時間以上冷凍することでも死滅するとしている。

 消費者への注意点には「内臓を生で食べないこと」「目視で確認し、幼虫がいたら除去すること」などがある。加えて太字で「一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません」と強調されているのは、それらの効果が過大に伝えられているせいでもある。

 鮮魚店などでは肉眼での確認はもちろん、アニサキスが主に寄生する内臓の処理とそれ以外の部位では別のまな板を使うなど細心の注意を払っているので、まず問題はない。ほとんどの人は家庭や飲食店でアニサキスの幼虫を「目視」したことなどないだろう。

 とはいえアニサキスなどの寄生虫による害から身を守る一番の方法は、魚介類を生に近いかたちで食べないことだ。現状は魚介類の生食を好む人が、それをあきらめなければならないほどアニサキスが大量発生しているわけではないが、生食にこだわりがない人は魚介類には必ず火を通して食べることにしたほうが無難である。

(ライター/工藤 渉)

参考URL:

厚生労働省 アニサキスによる食中毒について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

厚生労働省 アニサキス線虫による食中毒予防の注意喚起について(2014)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000057172.pdf

厚生労働省 クドアによる食中毒について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133250.html

農林水産省 寄生虫による食中毒に気をつけましょう
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/parasite.html

中央水研 寄生虫とのつきあいかた
http://nrifs.fra.affrc.go.jp/news/news19/yosinaga.htm

国立感染症研究所 アニサキス
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/314-anisakis-intro.html

毎日新聞2017年5月8日「アニサキス 生の魚介類で猛威 10年で20倍」
https://mainichi.jp/articles/20170509/k00/00m/040/080000c

産経ニュース2017年5月23日「アニサキス症急増、有名人も食中毒に 予防は加熱・冷凍、目視で除去」
http://www.sankei.com/life/news/170523/lif1705230037-n1.html

スポーツ報知2017年5月10日「渡辺直美を襲ったアニサキス食中毒の予防法」
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170510-OHT1T50055.html