7月23日の高速鉄道事故をめぐり、目下展開中の「中国政府」vs.「インターネットユーザー」のバトル。だが、政府の劣勢は誰の目にも明らかだ。マスコミを経由せず、強力な世論を生み出していく「ふつうの人々」に、拍手喝采する日本人は多い。
だけど、ちょっと待ってほしい。ここ日本でもつい最近、同じような出来事が起きているぞ?6月11日に行われた「6・11脱原発100万人アクション」。フェイスブックやツイッターで情報が広がり、新宿アルタ前に約2万人が集まったことは記憶に新しい。
これまでデモといえば、はちまきやシュプレヒコールが付きもので、一般人からすると「ちょいと物騒」なイメージも漂っていた。ところが、この日はごく普通の主婦や会社員が多数参加。ロック演奏家やちんどん屋を先頭に練り歩くなど、一風変わったスタイルも話題となった。
「集団ヒステリー」「単なるお祭り騒ぎでは?」などなどの批判がある一方、賛同の声も高かった反原発デモ。大手マスコミにはあまり取り上げられなかった当日の模様を検証してみると、日本の「ふつうの人々」のあきらかな変化が見えてきた!はたして、この国における「ネット発世論」の動きは、いまどこへ向かおうとしているのか?
デモを主催したリサイクル店主、松本哉さんに話を聞いてみた。
今回のお題
「近頃、なんか増えてる気がするデモ活動。ハタ迷惑なバカ騒ぎ?それとも自分も参加する?」
全共闘世代のデモとは異なる?
ツイッターやフェイスブックが物足りない若者たち
今回のデモは、全共闘世代のデモとは本質的に違っている――まずそう前置きした松本さん。
「当時のデモっていうのは、まず組織があって理念があって――というのが基本でしたよね?参加者も動員されてきた人たちがほとんどだった。みんなが叫ぶシュプレヒコールも、組織で掲げる大目標だったり……」
その点、今回のデモは、「反原発」という目標は一緒でも、言い分は人によってまちまちだった、という。
「『自分の地域に放射能が飛んできたらイヤだ』とか、『住み慣れた土地を離れたくない』とか、『利権問題だけは見過ごせない』とかね。ノリだってもうほんとバラッバラ。演説してる人。楽器を演奏し始める人。行進が終わって缶ビールを開けてる人。遊んでいる子どもたち。見ていて、こりゃなかなかいいぞと思いました。