中国、インド、途上国へ
変わる世界経済の牽引車

 図1に表した「前年の世界GDP」を母数とする各国・各地域のGDP増分の割合が「寄与度」であるのに対して、「世界GDPの増分」を母数とする割合は「寄与率」である。

 寄与度の図だけでも、世界経済の成長への主要アクターの交代は明らかであるが、この点をより明確に理解するために、先進国、日本、中国の寄与率の推移グラフを参考に付けておいた。

 このグラフから、1980年代に世界経済を牽引していたのは、日本を含む先進国(日本、米国、EU)であったが、21世紀以降は日本以外のアジア地域(中国、インド、アジアその他)にその役割が取って代わられたことが明らかである。先進国の寄与率は1980年代には5~6割だったのが最近は2割台にまで落ち、逆に中国一国の寄与率が先進国全体を上回るに至っているのである。

 昔は「米国がくしゃみをすると世界が風邪を引く」と言われていたが、最近は「中国がくしゃみをすると世界が風邪を引く」のである。

 日本の寄与度についても、推移を追うと、飛ぶ鳥を落とす勢いであったバブル経済期の1980年代には10%の高い寄与率を誇っていた。だが、1990~2000年代にかけて一段レベルが低まり、2010年代はさらにもう一段レベルが低下している。

 IMFの将来推計では、こうした状況が2022年にかけて維持されると考えられている。ただ、寄与率で中国は現状維持で、先進国が低下傾向なので、中国以外の途上国の寄与率の上昇が見込まれていることになる。

 GDP予測をベースにした将来の世界経済の見通しが、直近の動きの延長線上に過ぎないことは、図1における過去の動きの変動の激しさと、将来予測の平滑な動きとを比べても明らかであろう。

 過去には、高い成長のブームの後に、大きな落ち込みが続くといった動きが繰り返されてきた。将来にも同じようなことが起こるに違いない。IMFの予測を超えるような伸びの後には、まず間違いなく「経済クライシス」に襲われるだろうと見られるが、それがどのような形で訪れるかについては、公的機関の予測を超えた領域の話であろう。

 しかし、そうした経済変動の中で、世界経済の構造変化が傾向的に進んで行くことは確かである。先進国経済や中国、インド、その他の途上国経済が、今後、長期的に世界経済の成長にどのように寄与していくかは、むしろ、人口の動き、特に生産年齢人口の動きによって左右されると思われるので、次に、この点を視覚的にデータで確認してみよう。