堅調だった世界株式市場も秋口以降は警戒が必要だ

 足元で欧米の金融緩和策の出口が見え始めている状況下、これまで堅調な展開を続けてきた世界の株式市場は今後、どのような展開になるだろうか。企業業績が改善する一方、主要国の金融緩和策の"流動性相場"が世界の株式市場を支えてきた。

 その金融政策が、わが国を除く欧米先進国で転機を迎えている。株式市場にとっては、かなり大きな環境変化になることだろう。今年の後半以降、世界の株式市場が環境変化に耐えられるのか、占ってみたい。特に、バブルともいわれる米国の株式市場の動向は注目される。金融緩和策の支えが変化した時、株価には徐々に調整圧力がかかる恐れがある。そのシナリオは軽視すべきではない。

金融緩和が支えた
株式市場の上昇

 リーマンショック後の世界経済は、主に米国の緩やかな景気回復に支えられた。景気回復に伴い、株式市場も上昇してきた。2009年3月に米国の株式市場は底を打ち、以来、株価は3倍を超える上昇を遂げている。

 この間に米国では、事実上のゼロ金利政策の後、3度にわたる資産の買い入れ(QE)が実施された。その他の先進国でも、ECBがマイナス金利や量的緩和、金融機関向けの長期資金供給オペなどを実施した。

 2015年4~6月期以降、S&P500インデックスを構成する企業の一株あたり利益は、5四半期連続で減少した。この間、低金利環境下での社債発行を通して、米国の企業は自社株買いを行った。それが株式市場のリスクアペタイト(リスクを取りに行く姿勢)を支えた。結果として、低金利を促す金融政策が株式市場の上昇を支えたといえる。