米シェール開発の失敗などで2015年3月期に最終赤字へ転落した住友商事の業績が回復基調にある。資源価格上昇の追い風に加え、メディア・生活関連事業が好調なこともあり、今期は史上最高益の更新を狙う。社長任期ラスト1年を切った中村邦晴社長に、今後の見通しなどを聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)
──昨年度の決算をどう総括していますか。
昨年度は成長軌道への基盤固めができた年でした。
資源のみならず、非資源分野でも船舶等でかなりの減損処理を進める一方、稼ぐ力の強化に尽力してきた結果、昨年度の当期利益は計画を約400億円上回る約1700億円となりました。
──今期は中期経営計画の最終年度となりますが、足元の状況はどうですか。
感触は非常に良く、今後はさらに上昇するとみています。
当社の過去最高益は2011年度の2507億円。今期の当期利益の計画は2300億円ですが、実は社内では過去最高益の更新を狙おうと言っている。足元の状況を見る限り、それは十分に可能でしょう。
今期で最高益を更新することができれば、おそらく次期中計の初年度に3000億円は狙える。そして次期中計の最終年度までに3000億円台半ばを達成し、トップグループの背中が見えるところまで追い付きたいと考えています。
──成長が期待できる分野は。
一つ目は社会インフラ関連です。電力、鉄道、通信インフラなどはまだまだ伸びしろがあると考えている。目先では、電力事業の発電所のEPC(設計・調達・建設を含む建設工事請負契約)案件で前期に計画予定だったものが、契約や入札の遅れから来期にずれ込んでいるものもあり、収益貢献が期待できる。