この世帯合算を利用すれば、ひとり分の医療費では高額療養費の限度額まで届かなくても、家族の医療費をまとめて申請できるので、次のように還付を受けられるケースもある。

<医療費の自己負担額:夫6万円、妻6万円のケース>

 A男さん(45歳・会社員・月収35万円)は、内臓疾患でC病院を受診し、1ヵ月に合計20万円の医療費がかかり、その3割の6万円を自己負担した。同じ月に妻のB子さん(43歳・専業主婦)もケガをしてDクリニックを受診。1ヵ月間にかかった医療費は20万円で、自己負担したのは6万円だった。

 高額療養費の対象となるのは1ヵ月の自己負担額8万100円を超えた場合なので、A男さんもB子さんも、ひとり分ではそのラインに届かない。しかし、ふたりとも1ヵ月の自己負担額は2万1000円を超えているので、世帯合算は可能だ。

 ふたりの医療費を合計すると40万円で、12万円を自己負担している。これを、高額療養費の自己負担限度額の計算式に当てはめると【8万100円+(医療費40万円-26万7000円)×1%=8万1430円】となる。世帯合算の特例を利用して申請すれば、すでに払っている12万円から自己負担限度額の8万1430円を差し引いた3万8570円を払い戻してもらうことができる。

 この合算は家族間だけではなく、ひとりの人が複数の医療機関を受診したときも対象になるものもある。この場合、ひとつの医療機関に支払った自己負担額がそれぞれ2万1000円を超えていることが条件で、1ヵ月間に支払った医療費の合計がたんに8万100円を超えただけでは申請できない。たとえば、5つの医療機関に1ヵ月にそれぞれ2万円ずつ支払っても対象にはならないが、3つの医療機関で3万円ずつ支払った場合は対象になる。

 また、ひとつの医療機関で通院と入院の両方をした場合、大学病院などで医科と歯科の両方を利用した場合も合算できるので、忘れずに申請したい。

 世帯合算でも、高額療養費の限度額を超える月が直近1年間に3回以上になると、4回目からは限度額が4万4000円に引き下げられる。時効は2年なので、心あたりのある人は早めに自分が加入している健康保険に問い合わせてみよう。

 ただし、世帯合算できるのは、夫の健康保険に妻や子どもも扶養家族として加入しているなど、家族で同じ健康保険制度に加入していることが条件だ。夫婦共働きで、それぞれが勤務先の健康保険に加入している場合、後期高齢者医療制度とは合算できないので注意しよう。