東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生したら、東京23区の西半分は震度6弱、東半分は震度6強の揺れに襲われると、東京都は想定している。
震度6弱とは、「立っていることが困難な揺れ」。震度6強は、「立っていることができず、這わないと動くことができない揺れ」。言葉だけでは、今ひとつ実感がわかない。目黒区の『地震の学習館』に行けば、揺れの強さをリアルに体験できる。
大地震が発生すると出火危険度は増大
延焼リスクが広がりやすい都市構造
首都直下地震が発生したとき、目黒区でまず肝に銘じておかなければならないのは、火災のリスクである。想定される焼失棟数は、区内の全建物の29%。その数は1万5000棟を上回る。区内を北部、中部、南部に3分割した中部エリアで、特に注意が必要だ。
東京消防庁のシミュレーションによると、大地震に伴う目黒区の出火危険度は18位。だが、60分後の延焼危険度は9位へとハネ上がる。棟数ベースで見た耐火・準耐火造建物の割合が5割を超え、順位も7位と比較的不燃化が進んでいる目黒区で延焼のリスクが高いのは、都市の基盤構造に由来する部分が大きい。
道路の総延長を区の面積で割った「道路線密度」は、台東区に次いで2位。しかし、平均道路幅員は逆に下から2番目。道路は多いが、幅が狭い。公園、グランドなどのオープンスペースの割合も、23区平均の半分に満たない最下位である。