投資の利回りは
一定していない

 3%複利という言葉は分かりやすいし、一見、説得力もある。

 仮に、毎月2万円ずつ20年間、積み立てで投資して3%複利で回るといくらくらいになるだろうか。単利で考えると積立て累計金額が480万円。毎年の利息が7200円だから20年間で14万4000円、すなわち元利合計では494万4000円になる。

 一方、複利で運用すると、元利合計は約657万円となる。つまり、単利に比べて実に163万円も殖えるわけであるから、確かに複利が有利であることは間違いない(いずれの場合も税金・手数料は考慮していない)。

 しかしながら、ここに一つの罠がある。

 この複利計算は、エクセルを使えば誰でも簡単にできるが、あくまで「元加」する、すなわち発生した利息を元本に「加えて」計算されている。さらに言えば、「毎年必ず3%ずつ増えていく」という前提で計算されている。

 定期預金や国債のように金利が確定しているものであれば、こうした理屈は成り立つ。しかしながら、投資によるリターンが決して一定でないことは、誰にでも分かる理屈だ。

 年によって、5%上昇することもあれば、逆に10%下落することだってある。となると、プラスの場合同様、マイナスの場合にもその“効果”は増幅され、マイナス幅は大きくなってしまう。

 そして言うまでもなく、プラスになるかマイナスになるかは、誰にも事前には分からない。つまり、上がり下がりが不確定なものに対して「複利効果」というのは、論理的には成り立たないのだ。

 よく毎月分配型投信について、「あれはとんでもない商品だ」という意見がある。なぜかと言うと、「分配金を出すことで、せっかくの“複利効果”が損なわれてしまうからだ」というのが理由なのだが、これは厳密に言えば正しくない。

 確かに、毎月分配型がいい商品でないことには筆者も同意する。だが、その理由は「複利効果が見込めないから」ではない。分配金を出すことで、「運用原資(元本)が減る」こと、そして「支払われた分配金に対して税金がかかる」というデメリットがあるから資産形成に適していないのである。

 さらに言えば、これは人間の心理的な側面が大きいが、受け取ったお金、この場合だと分配金はいつの間にか使ってしまう可能性が高い。そのため、結局いつまで経っても増えないということになりがちだからだ。

 いずれにしても、投資信託の運用のようなリターンが不確実なものにおいて、「3%複利で運用」みたいな話は、あまり意味をなさないと考えた方が良いだろう。