これと逆の心理を利用したのが、医療保険である。入院の際に下りる給付金は、まぎれもなく自分の払い込んだ保険料の中から支払われるのだから、その分を貯金して使っても同じなのだが、保険で給付を受けるとなんだか得した気分になってしまう。そもそも貯金は“下ろす”と表現するのに対し、保険は“下りる”という言い回しを使うところも巧みである。

 こうした三つの理由と、様々な心理的背景が重なってポイント還元が好まれることになるのだ。

ポイントを貯めなければ
無駄な金も使わない

 そもそもポイントとは“オマケ”なのである。ところが往々にして、貯めること自体が目的化してしまう傾向がある。これは「選好の逆転」という現象で、ポイントを貯めること自体が目的となってしまい、そのために無駄な金を使ってしまう傾向のことを言う。

 逆に言えば、ポイントやマイレージというのは、店側がこうした様々な心理を利用し、消費者にたくさん買い物をさせるためのマーケティング手法の一つなのである。

 では、そうした本末転倒なことを防ぐためにはどうすればいいのか。結論から言うと、ポイントを貯めなければいいのだ。

 具体的に言うと、ポイントが付いてもそれを貯めず、次回の買い物の際に必ず使い切ってしまうようにすればいい。そうすれば、「選好の逆転」現象を防ぐことができる。

 そもそも、いくらポイントを貯めてもポイント自体には金利は付かないので、貯めること自体で得られる経済的なメリットは何もない。下手をすれば、有効期限を過ぎて使えなくなってしまう場合もあるから、さっさと使ってしまった方が合理的なのだ。

 このように、日常の買い物で付与されるポイントには、心理的な罠がいくつも潜んでいる。そのことを忘れないようにして買い物することが大切だろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)