3.一流は「実践」に学び、二流は「机上の知識」に学ぶ

 一般に「ビジネスパーソンの勉強」といったときにまず思い浮かぶのはビジネス書であったり、資格勉強のようなものかもしれない。エリートといわれる人たちも、なんらかのテキストによって自己研鑽していることが多いだろう。

 しかしEMBAに来る野心的なトップエリートたちは、「実践」を活用することこそが真のビジネス力を磨くという考え方だ。彼ら、彼女らと学んでいると、インプットからアウトプットまでのスピード感にとにかく驚かされる。実際彼らは、EMBAで学んだことを即座に現場で実行し、新たな成果と課題を持って再び学びの場に帰ってくる。

 EMBAでは、彼らが実践した生の事例を題材に取り上げながら、教授や講師陣はもちろん、生徒たちも一緒になって議論を重ね、さまざまな意見交換をする。

 そんな生々しい、リアルタイムのやり取りをするのだから、教授や講師も単なる知識のスペシャリストというだけではやっていけない。自身がビジネスをやっているバリバリのビジネスパーソンであることも多く、現場に即した「実践的なアドバイス」を与えてくれるし、そもそも現場感覚とスピード感を有していなければ、生徒側から容赦のないクレームが入る。

 このように一流のエリートたちは、とにかく「実践に学び、速く実践で結果を出すこと」を意識している。彼らの頭の中には「この学びが現場でどのように機能するのか」「どんなビジネスを生むのか」「どれほどの利益につながるのか」という発想が常にあるのだ。

 だからこそ、EMBAのクラスメイトが現場で実践したケースを(それが成功事例であれ、失敗事例であれ)興味深く聞くし、矢のような質問を次々と浴びせかける。

 彼らは、真剣に学ばなければ自分たちのビジネスを拡大させることがむずかしいことを知っているし、質の高いアウトプットを出すために、インプットの質と量を増やさなければならないと、本気で思っているのだ。

 だから、彼らと一緒にいると「学びのための学び」なんてことは絶対に起こらない。

 学びはつねに実践とセットになっており、現場からのフィードバックを繰り返し、新たな学びに繋げていくのだ。

(本原稿は、『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている一流の頭脳の磨き方』より抜粋・編集して掲載しています)