9月2日、野田内閣が発足した。増税のイメージが強く、株式市場の評価はいま一つのようだが、本当にそうなのか検討してみたい。
今回の代表選の候補者の中で復興増税を主張したのは野田佳彦首相1人だった(前原誠司政調会長も言及したが、野田首相よりは慎重なスタンス)。ただし消費税率の引き上げに関しては、馬淵澄夫元国土交通相以外は「2010年代半ばまでに段階的に引き上げ」との政府方針を支持しており大きな違いはない。そういう意味では「野田=増税」のレッテルが一人歩きしているとの印象がある。
増税問題以外では野田首相のスタンスはむしろ株式市場にプラス。成長戦略には積極的であり、農協出身で当初環太平洋経済連携協定(TPP)に消極的と見られた鉢呂吉雄経済産業相がテレビ番組で前向きな発言をするなどちょっとしたサプライズもあった。原発の早期再稼働を目指す姿勢も株式市場の観点からは評価できる。
9月4日には早くも安住淳財務相など経済4閣僚が円高・空洞化対策について議論するなど動きも早い。内容も単なる「円高」でなく、「空洞化」が追加されている点がひと味違うと思わせる。今回報道されている内容には、円高が空洞化をもたらさないための国内立地補助など、日本企業の競争力に配慮したものが盛り込まれている。