――主要国が海上兵力と航空兵力を強化する中で、自衛隊の陸・海・空の予算のシェアはこの10年間、ほとんど変わっていません。
まず、陸・海・空自衛隊によるシェア争いがある。そして、陸自ならば陸自の中で職種間のシェア争いがある。0.1%でも下がったら各担当者のクビが飛ぶと言われている。
でも、それを判断するのが政治の役割でしょう。
私が大臣のとき、運用を統合的に行うなら、防衛装備品の調達も過去のシェアに捕らわれることなく、統合的にやるべきだと言った。部分最適の総和が全体最適ではないということで改革案を福田内閣でまとめたが、ようやく陽の目を見たのは最近のことです。
――自衛隊は3月に水陸機動団を創設するなど島しょ防衛を強化しています。中国と紛争になった場合、どれくらいなら大丈夫なのか、政治は把握しているのでしょうか。
私は政府にいないので分かりません。ただ、なぜ日本国海兵隊がないのかという疑問は投げかけてきました。
従来の自衛隊は仕掛けがでかいので即応性がない。海兵隊は陸・海・空の機能を凝縮したものだから命令一下で動けます。
海兵隊の任務は、第1に海外で危難に遭遇した自国民を保護すること。第2に領土保全ですよ。その2つは、国家主権そのものです。国家は、国民と領土と統治機構で成り立っているのですから。
それを守る海兵隊がなぜないのでしょうか。それは米国がやってくれているからでしょう。
だけど、海兵隊は米国の専売特許じゃない。英国も、イタリア、フランス、ドイツ、中国だって韓国だって持っている。日本にないのはおかしくないか。そこからです。西部方面を強化し始めたのは。