どこまでできて、どこまでできないかは、実際に政治家が(離島奪還の部隊が所属する)長崎・相浦駐屯地に行かないと分からない。

――現在の統合幕僚監部は、陸・海・空の寄せ集めで、統合的な指揮を取れているとは思えません。

 統合とは、それほど難しいことなのです。米国も統合運用するようになったのは戦後になってからのことです。

――本気で、統合運用により全体最適を目指すならば、人事から変えなければ難しいのでは。

 そうですよ。だから、誰が本当に優れた将軍なのかをきちんと見極めなければなりません。

 私は防衛相時代に、一回だけ人事権を行使したことがある。幕僚長人事で上がってきた案をひっくり返しました。

―― 一回だけ?防衛省や自衛隊の人事に介入するのはというのは、難しいということですか。

 難しい。全員知っているわけではないし。

 だから秘書官とか副官に、能力が高くて、大臣が嫌がることでもズバッと言えて、私心のないやつを選ばないといけない。

 私の大臣室は、「それは大臣間違いですよ」って言うことがしょっちゅうありました。一方で、その時に、法律も装備も人事も運用も知らない大臣だったら、防衛省・自衛隊固有の「組織の論理」がまかり通ってしまう。

――統合運用こそ政治主導で判断しないと進まないと。

 そのとおりです。戦前、陸・海軍の仲がものすごく悪かった。「陸海総力を挙げて戦い、余力をもって英米に当たる」と言われていたぐらいです。組織の論理をそのまま通せば、そんなものですよ。でも、軍隊がそうなっちゃったら終わりでしょう。

中国、北朝鮮の挑発行動がエスカレート
日本の現状どう見る?

――中国、北朝鮮の挑発行動がエスカレートしています。一方、世界における米国のプレゼンスが落ちれば、日本が対応しなければならないことが増えそうです。現状どう見ていますか。

 北朝鮮から言えば、トランプ大統領が金正恩を称して、「あの男は他にすることがないのか」と言った。その認識は正しい。要するに、米国に打撃を与えられる核兵器を持ち、独裁体制を国際的に認めさせることが北朝鮮の唯一無二の国家目標。それ以外にすることがないということを認識したほうがいい。

 であれば、日本はミサイル防衛の精度を上げ、迎撃ミサイルの数を増やすことが不可欠です。飽和攻撃で日本が持っている迎撃ミサイル以上の数が飛んできたらどうにもならないから。

 それと、米国の核の傘の実効性をきちんと確認することです。せめて北大西洋条約機構(NATO)と同じことはやるべきです。