調査時点の微妙なズレに起因する違いを別にすれば、各社の支持率の変化はほぼ平行となっており、各社の調査は、厳密に同じ方法で行われていることがうかがわれる。であるならば、なぜ、読売と朝日で1割もの支持率の差が生じるのであろうか。これについては、二つの理由が考えられる。

 まず、「重ね聞き」の有無が支持率の異なる水準の原因とされている。すなわち、読売の場合は、「わからない」、「どちらともいえない」と答えた人に対して、「あえて言えば支持ですか、不支持ですか」と重ねて聞いているのに対して、朝日は、最初の答えをそのまま計上しているので、自然と、読売の場合は「支持する」の回答が増えるというわけである。

「その他」の回答を図1の期間平均で見ると、読売は10%と少ないのに対して、朝日は21%と2倍以上になっている点にもこのことがうかがわれる。なお、「重ね聞き」の有無では、「日本経済新聞」は読売と同じ、「毎日新聞」は朝日と同じであり、内閣支持率のレベルの差も同じように生じている。

 重ね聞きをするならば、「支持する」だけでなく、「支持しない」も増えるわけであるから、支持率を、支持・不支持以外を除いた総数に占める「支持の割合」として算出すれば、社によって違いが出ないはずである。そこで、図1の下には、この値の推移を示した。これを見ると、実は、こちらの方式の支持率も、読売>NHK>朝日という違いが認められる。

 これには、第2の理由を想定しなければ納得がいかないだろう。すなわち、どの新聞の世論調査かによって、回答者が回答を拒否するかどうかに違いがあることから、政府との関係における“論調”の違いによって、調査社への回答にバイアスがかかる点があげられよう。なお、聞いてくる新聞社によって、回答者が相手に合わせた回答を行うとの説もあるが、これは当てはまらないと思う。

 なお、ここで新しく計算した支持率の推移をながめると、値が低下したときに読売と朝日との差が大きく縮まる傾向が見て取れる。これは、読売への回答者が、政権批判が高まった時には、朝日と比較して支持が減り、不支持が増えやすいからだと考えられる。

 重ね聞きで初めて答える人は、政治に無関心な人が多いと思われるので当然であるが、そうでない人も含めて、読売への回答者はそうした傾向があるといえる。逆に言えば、朝日調査への回答者の場合は、脱イデオロギー化が進んでおらず、その都度の政治的事件というより、政権に対するそもそもの立場による回答傾向が強いのであろう。「読売の変動が激しい」というより、「朝日の変動が小さい」と捉えた方が正解かもしれない。

 なお、支持・不支持以外を除いた支持率の動きを見ると、NHKへの回答者は、朝日より読売の回答者に近いと考えられる。