もとより、人口減少やガス機器の高効率化による省エネが進んだことで、ガス市場の縮小は目に見えていた。実際に、大阪ガスもガス販売量と顧客数が減少する前提で計画を策定していた。

 そこへ、自由化という荒波が押し寄せた。さらにガス販売量と顧客数を下押しする要素が加わり、これまで大阪ガスの財務基盤を支えてきた国内ガス事業に不透明感が漂うことになった(図(2))。

 予想通り、4月の自由化を契機に都市ガス事業に参入した関西電力は、大阪ガスを標的として積極的な営業攻勢を仕掛けた。関西電力の顧客獲得件数は、9月3日時点で22万件を突破。宇田徹・大阪ガス企画部グループ経営戦略チームマネジャー兼IR部長は、「努力は続けるが、ガス販売量や顧客数を伸ばすのは難しい」と話す。

 関西電力らによる競争激化の悪影響は、いずれ、大阪ガスの財務基盤にボディーブローのように効いてくるだろう。

 ガス事業の損益は、原料であるLNG価格がガス料金に反映されるまでの時間差を調整する「スライド差損益」に大きく左右される。そのため、このスライド差損益の影響を差し引いた「事業損益」を算出した(図(3))。いわば、国内都市ガス事業の“実力値”ともいえるものだ。

 大阪ガスのみならず、ガス業界トップの東京ガスですら、事業損益のプラスは減少傾向にある。この潮流を変えることは難しい。

 関西電力は攻勢の手を緩めるつもりはない。7月には、標準的な家庭における電気およびガスの合計金額が、自由化前と比較して約8.4%も安くなるセットプランを大々的に打ち出した。大阪ガスでもこうした値下げ攻勢に対抗するため、ガス料金を最大約7.5%引きにするプランを提示。両社の戦いは消耗戦へ突入している。